(53)コロナの頃 ~その1~ 自宅酒
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幸いなことに、自宅の近くに地酒の扱いでは都内でも屈指の酒屋がある。うまい日本酒は、飲み切れないほど売っている。石巻の「墨乃江」、秋田の「和賀山塊」(高清水の秋田酒類製造が造っている酒)、弘前の「豊盃」をまずは見繕ってきた。
つまみも、酒にちなんだわけではないのだが東北のものを選んだ。石巻の白謙かまぼこ店のカマボコ、気仙沼ホルモン、仙台の牛タンを取り寄せ、さらに金華サバの缶詰とヒイカをスーパーで購入した。
ヒイカは胴体とゲソを適度な大きさに切ってごま油を敷いたフライパンで焼く。ネギの青いところをぱらりと投入、醤油をかけたら完成だ。これでまずはビール。
イカをつまみながら金華サバの缶詰を開ける。中身を小鉢に空けて、ネギとかつお節をかけ、ちょっと醤油で味付け。ひと口食べると、バカにうまいじゃないか。これは日本酒だなと、さっそく「豊盃」を開ける。弘前の居酒屋でこの銘柄の酒を何種類も飲んでファンになったのだが、飲み口が軽く、いくらでも飲めてしまうような酒で、蕎麦猪口みたいな器を満たしたのに、すぐになくなり、酒を「墨乃江」に変える。これは純米吟醸の中垂れというヤツで、醪を搾る段階で、搾り始めと最後に搾りきる前の酒の中間、香味の安定した部分のことで、中取りともいう。
そもそも純米吟醸という質の高い酒の中の、もっとも穏やかなところを搾っているのだから飲み心地は抜群だ。これも、放っておいたら止まらない酒だ。

















