コロナ禍で就職率悪化…風俗で学費を稼ぐ女子大生の深刻

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 5月18日、厚生労働省が21年3月に卒業した大学生の就職内定率を発表した。ある程度、予想はされていたものの、結果は悲惨で、前年比2ポイントダウンの96%。新型コロナの影響で大学の休校や企業説明会などの中止の逆風が吹き、リーマンショック後の2010年4月以来、過去2番目の下げ幅になった。

 そんなタイミングで発売された「女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白」(宝島社)を読むと、その内容は衝撃的だ。緊急事態宣言中の今年2月、ノンフィクション作家の中村淳彦氏が新型コロナウイルス禍にカラダで学費を払う大学生18人を取材。中村氏によると、濃厚接触を売りにする夜の街は新型コロナで壊滅的な影響を受けたといい、コロナ前から経済苦にあえいでいた女子大生の生活はいよいよ深刻になりつつあるという。学費を納めるのに必死で就職活動どころではないようだ。著書の一部を抜粋して引用する。

   ☆   ☆    

 緊急事態宣言が続いている。大塚のピンクサロンも、20時までの時短営業をしている。20時になるとピンサロを含む、すべての店は電気を消して閉店準備となる。ピンサロ街の方向から女性が続々と駅に向かっている。おそらく仕事を終えたピンサロ嬢たちだ。彼女たちの疲れた後ろ姿は、もの悲しかった。

 20時15分頃。大塚駅前にピンサロの仕事を終えた加藤恭子さん(仮名/21歳)がやってきた。九州出身、福祉系大学3年生だ。学費と生活費のために大学1年からピンサロや激安デリヘルで働き、今も大学生をしながら風俗のダブルワークを続けている。自宅は西武線沿線で家賃5万5000円、日本学生支援機構の第二種奨学金を借りている。

 大塚駅前の店は、どこも開いていない。仕方ないので、反対側の南口駅前で話を聞くことにした。肌寒いので何本か缶コーヒーを買う。

「ピンサロは今、12時から20時の営業でシフト制。いつもは16時からの遅番なので4時間しか働けない。コロナでお客さんは半分位に減って、私は大丈夫だったけど、みんな出勤制限がかかったり、お客さんがいなかったら早退させられたりしている。店はそういう人件費を削減していますね」

 恭子さんは少しポッチャリとした体型で、雰囲気は地味だ。やはり中学や高校のクラスでは目立たないタイプだったようだ。九州の実家は、シングル家庭。物心ついた頃から父親はいなくて、母親は雇われの美容師をしながら恭子さんを育てた。美容師の収入は低い。大学進学費用をまかなえるような家庭ではなかった。

 高校3年の時、将来は高齢者介護か保育か迷った。資格が欲しいと思ったので、結局、社会福祉士養成の大学に進学する。

 実際に進学して方向性が違うと思っても、第二種奨学金を借りているので、毎月10万円が積み上がっていく。来年、卒業のときには借金は480万円になる。そして、すぐに返済が始まる。

「大学卒業はできるけど、社会福祉士の試験は受からないと思う。大学と生活するためのピンサロで精一杯だし、何十教科も勉強するのは無理です。それに、福祉の仕事をしても賃金が安いから奨学金は返せないだろうし、480万円も借金背負ってしまうので、卒業しても風俗続けます」

 九州の田舎で地味な女の子だった恭子さんは、高額な資格ビジネスに誘導され、そのために必要な資金を国が用意した金融ビジネスから借り、とても480万円の元が取れると思えない低賃金職につこうとしていた。何重もの搾取の真っ只中にいるので順調に行くはずがない。

 そして、その穴を埋めるために選択したのが過酷な労働に見合わないピンクサロンで、たいして稼げていない。卒業後もピンサロを続けてその金融ビジネスへの返済をするという。

   ☆   ☆

 抜粋は以上となる。あくまでコロナ禍で日々の生活と学業、就職の狭間で苦しむ女子大生の一例だが、同じような境遇で苦しんでいる学生は他にもいるはずだ。少なくともアルバイトもままならない現状で就職活動どころではないと焦りを感じている学生は多そうだ。中村淳彦氏の「女子大生風俗嬢」には、他にもコロナ禍で学費と食費を稼ぐカラダを売って生き抜こうとする大学生の実例がたくさん出てくる。

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