第2のソニー株を見つけるコツは「有形」ではなく「無形」
世界の株式時価総額トップ50社の中に日本企業が何社入っているかご存じだろうか? バブル真っ最中の1989年には実に32社も占めていた。しかし、33年後の2022年1月末ではトヨタ1社のみである。
一方、米国企業は14社から大幅に増加して、アップルを筆頭に34社が占めている。なぜ日本企業と米国企業でこんなに大きな差ができてしまったのか。
ある調査によれば、米国企業は投資の半分近くを無形資産に向けている。一方、日本企業では工場や設備など有形資産への投資がいまだに8割近くなのだ。これは両国の産業構造の違いによる。米国ではGAFAMに代表される巨大IT企業が産業の中核となっていて、大規模な生産設備をあまり保有せず、主要な資産は知的財産、データ、ブランディングといった無形のものである。
こうしたことで分かるように、企業の稼ぐ力の源泉が「有形資産」から「無形資産」にシフトし、投資家は「無形資産に積極的な企業」に着目し、投資しているわけだ。これが世界の流れなのである。
日本企業で有形資産から無形資産に業態を転換して、株価上昇を実現したのがソニーだ。日本の「ものづくり企業」の代表的な存在だったソニーだが、2000年代に入りゲーム、音楽、映画など無形資産への投資を進め、最近では営業利益の約7割を無形資産が生み出している。その結果、ソニーの株価は2012年11月の安値772円から、今年1月の最高値1万5725円まで上昇の一途だ。