安久工機 田中隆社長(1)「世界トップレベルのベンチャー7社」に選ばれた町工場

公開日: 更新日:

 池井戸潤氏の人気シリーズ「下町ロケット」の舞台となった東京・大田区。日本の製造業を下支えしてきたものづくりの町として知られる。3000以上の町工場がひしめきあう同区には、小説に登場する佃製作所のように、特定の分野で傑出した技術を持つ企業がたくさんある。

 そんな中で医療界に不可欠な存在となっているのが安久工機(大田区下丸子)。田中隆社長も含め、従業員はわずか6人ながら、経済産業省から「世界トップレベルのベンチャー企業7社」に選ばれた注目の町工場だ。人工心臓関連の機器を数多く手がけてきた。創業したのは田中社長の父の田中文夫氏。

「安久工機という社名は、親父の出身地である宮崎県都城市安久町からとったもの。昭和ひとケタ生まれの父は向学心の強い人でしたが、戦時中に育っただけに、かなり苦労したようです」

 文夫氏は1949年に地元の高校を卒業すると、福岡県の飯塚炭鉱で働き始めた。資金を貯めて、東京の大学で勉強したいと考えたのだ。手っ取り早く稼ぐには炭鉱が一番だった。だが、そのぶん危険が伴う仕事である。まもなく落盤事故に遭い、左肩を複雑骨折する大けがを負った。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然