政府が商工中金の保有株をついに売却へ 完全民営化へ高まる懸念
リーマン・ショック、東日本大震災に新型コロナウイルスの感染拡大……。相次ぐ危機に直面し延期に次ぐ延期を重ねてきた商工中金(商工組合中央金庫、東京・中央区)の完全民営化移行がようやく実現へと動き出す。政府はこのほど46.46%を保有する同社株を全て売却する方針を固めた。今通常国会に商工中金法の改正案を提出する。売却時期などは今後詰める。
商工中金は総合金融サービスを展開する公的金融機関。関東交通共済協同組合など民間も出資する。国内に102支店を持つほか、ニューヨークや香港など海外にも4支店を展開。2022年3月期で貸出金の期末残高9兆5978億円。連結経常利益と最終利益はそれぞれ306億円、185億円という地銀上位行並みの規模と収益力を持つ。
民営化方針が打ち出されたのは小泉純一郎政権下の06年。行政改革推進法で「08年に株式会社化し、5~7年後に政府出資株をすべて売却処分する」とうたわれた。しかし株式会社化された直後にリーマン危機が深化。11年にはさらに東日本大震災まで起こり完全民営化は先送りが続いてきた。
■完全民営化への懸念も