中国で69兆円市場、日本にも上陸した「ライブコマース」って何? TVショッピングの違いは?
テイラーアップ 松村夏海社長
中国では69兆円市場ともいわれるライブコマース。その波は日本にも上陸し、三越伊勢丹やユニクロ、花王などの大手企業も続々と参入している。しかし、まだなじみのない人も多いはず。そこでライブコマースの支援事業を手がけるテイラーアップの松村夏海社長に、ライブコマースとは何か聞いた。
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──ライブコマースとは?
直訳すると生配信の映像による商取引のことです。広義にはテレビショッピングも含まれますが、狭義にはインターネット上で行うものをこう呼んでいます。
企業の自社サイトやライブコマース専用のECサイトなどいろいろな場所で行われていますが、8割がインスタグラムのライブ配信機能を使っているといわれています。企業が自社のインスタグラムで、いつ、どんな商品のライブコマースをやるかを告知し、そこに視聴者を集めるのです。そこで自社の商品を紹介し、欲しいと思った客を販売サイトに誘導する、これが現在のライブコマースの基本的な流れです。中国などで爆発的に広がり、数年前から日本でもブームの兆しが起きています。
──なぜ注目されている?
ポイントは「長さ」と「双方向」です。映像による販促活動にはテレビCMやユーチューブ動画がありますが、数十秒や数分では自社の商品の特長を十分には伝えられません。かといって今は長い動画が見られなくなっています。ユーチューブの15分動画も2倍速で飛ばしながら見ている人がいるくらいです。
しかし、ライブだと長時間でも見る人が多いのです。オンライン会議の録画を1時間見るのは難しくても、リアルタイムなら平気なのと同じです。ではテレビショッピングとどう違うのか。あれも生放送ですが、視聴者からの「何色がありますか?」「耐久性はどれくらい?」「試しに羽織ってみて」といった質問やリクエストにはすぐにこたえられません。その点ライブコマースはコメント機能を使うことで、双方向のコミュニケーションができるのです。
──ライブをする人は有名人?
商品を説明する人をコマーサーと呼ぶのですが、テレビショッピングのように有名人を起用する場合もあれば、その会社の社員やショップ店員を起用することも多いです。商品開発の背景や機能については社員の方が詳しいですし、何より説得力があります。中には熱狂的なファンが付く社員やスタッフもいて、昔の渋谷のカリスマ店員のようです。