喫茶店の倒産が過去最多ペースに…昭和レトロブームでも存在意義薄れ、勝てる要素なし

公開日: 更新日:

「80年代以降、個人経営店に代わり、チェーンショップの展開が加速しました。折しも、その後長く不況が続いて消費低迷が続いたこともあり、個人経営店を中心に廃業が増えたとみられます」(飯島氏)

■チェーン店の猛攻、他業種のコーヒー業界進出も驚異

 ドトールが1号店を出店したのは80年。スターバックスは96年に1号店を銀座に構えた。97年にタリーズ、99年にエクセルシオールカフェとサンマルクカフェがオープンするなど、大手はスターバックス以降の動きが著しい。68年に1号店を出店したコメダ珈琲店も2000年代から全国展開を強化した。

 スタバは現在、既に2000店舗を超え、ドトールとコメダ珈琲店は各1000店舗以上を展開、タリーズは800店舗を超える。個人店に抵抗感のある女性客の支持を集めたことも、チェーン店台頭の一因といわれる。集客力に劣る個人店は淘汰されたとみられる。さらに他業種のコーヒー業界進出も喫茶店の脅威となった。

「ファミレスやバーガーチェーンなど、喫茶店以外でもコーヒーを飲める場所が増えて喫茶店の存在意義が薄くなった。家庭で飲む量も増えている。食事に力を入れていた喫茶店も、安い外食チェーンに負けた」(コーヒー豆卸売業の関係者)

 コーヒーにせよ、食事メニューにせよ、個人の喫茶店が大手チェーンに勝てる要素はなくなったわけだ。昭和レトロ喫茶店が一部で人気を博すものの、消費者の大半が個人店にシフトする動きは見られない。厳しい状況は変わりそうにない。

(山口伸/ライター)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  2. 2

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  3. 3

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  4. 4

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  2. 7

    麻生太郎氏に「10月政界引退説」 派閥の「裏金疑惑」拡大で窮地…気づけば孤立無援

  3. 8

    ペヤングソースやきそば(まるか食品)これまで投入した味は600品以上 2020年発売「モノホントンコツMAX」の評判は…

  4. 9

    ホタテ漁で栄華を極めた北海道猿払村は中国への輸出停止でどうなった?漁師はメディアに“警戒モード”

  5. 10

    どうなる2025年の忘年会? インフル大流行、インバウンド、実施企業減で飲食店に“三重苦”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択