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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

日産からの逆襲か…ターンアラウンド説明会を直撃!新型リーフは本物?あの新型ミニバン、軽自動車も本当に売れる?

公開日: 更新日:

「(事業ごとの)ホンダとの協業はスローダウンした訳ではありません(中略)。色々なパートナーとの連携を検討します」と語ったのは、4月1日付で日産新社長に就くイヴァン・エスピノーサ氏。先日、厚木のテクニカルセンターで行われたターンアラウンド(事業再生)説明会でのヒトコマだ。

 ご存じの通り、2024年度第2四半期から利益9割減、9000人カットの危機が判明した日産自動車。以来、ホンダとの提携話が立ち上がっては破談になり、社長交代劇も行われたわけだが、同時に日産はマスコミ陣に現状を公開。近々グローバル展開する新車計画を新社長自らお披露目した。

 車種数は確かに凄い。2025年度計画をざっと言うと、日本でも発売される新型EVの3代目リーフに、ミディアムSUVのローグPHEV、乗用系の新型セントラやパスファインダー、主に欧州で展開するコンパクトのマイクラEV、乗用SUV系のキャシュカイe-POWERにインフィニティQX60。2026年度はこれまた主力SUVのローグe-POWER、インフィニティQX65、新型ジュークEV、ピックアップ系のナヴァラとフロンティア、乗用系のヴァーサ、インド向けSUVにMPVといった具合で台数は多い。しかもほとんどは完全新規ではなく。継続生産車種なのでマーケットも見えてるし、ちゃんと売れれば問題はない。

国内で日産が完全復活するには…

 そこでキモとなるのが商品の中身。特にアメリカでは今まで出してなかったハイブリッドモデル=e-POWERの存在がカギになる。今まで日本や一部ASEAN諸国や欧州で展開していた半電動モデルを。この世代から北米にも出すのだ。

 それが新しい1.5ℓ直3高効率エンジンと共に出す第3世代e-POWERで、先日筆者も乗ってきたが、動力性能は十分以上だった。詳しくは別に語るが、重要なのは燃費でカタログ値では9%ほど向上し、高速域では15%ほど現状より良くなる予定。その実力が重要だが、本当ならかなり期待できる。

 一方、我々にとって気になるのは日本市場だが、前述した16車種の中で確実に入ってくるのはEVの新型リーフのみと正直少なめ。

 ただ実は、別の決算会見で明らかにされているのは、新型軽自動車と次期エルグランドと目される新型ラージミニバンの存在。予定ではそれぞれ25年度、26年度あたりに出そうだが、この辺りがしっかり売れてくれないと、国内での日産の完全復活は望めない。

EV市場はテスラに先を行かれ、ハイブリッドでも遅れ

 そこは続報次第だが、この辺りで本当にヒットを打てなければ日産は確かにヤバいだろう。なぜなら、基本的にここ10年レベルの日産の不振は、EV戦略とHV戦略の問題から始まっているのだ。

 2010年に出た事実上の世界初量産EVたる初代&2代目リーフが正直今ひとつ。ピークでも年間5万台強しか売れてない。比べると、今やテスラモデルYは年間120万台も売るわけで、EVの先駆者としては完全にテスラに持っていかれた。同時に開発を一度凍結したハイブリッドでもまた、トヨタやホンダに先を行かれている。

 商品戦略的にはこの辺りの問題が根本にあるのだ。

 果たして、今回出た3代目リーフと第3世代e-POWERはどうなのか? 本当に世界を凌駕できるのか。次はここを独断と偏見で筆者が分析してみたいと思う。

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