中国にやられた「アジア開発銀」 歴代トップたちの無能無策
習近平国家主席の“高笑い”が聞こえてきそうだ。中国主導で年内に設立する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に、イギリスに続き、ドイツ、フランス、イタリアが参加を決めた。
これで参加国は計31カ国に。日米とカナダを除くG7の過半数が“支持”に回ったことで、アジア経済で中国の影響力が強まることは間違いない。
さらにオーストラリアも参加を検討中で、韓国も今月中に参加を表明するという報道が相次いでいる。
既存の「アジア開発銀行(ADB)」との役割分担が明確でないなどと反発してきた日米は、中国にまんまとしてやられた格好だ。
「そもそも、中国がAIIBの設立に向けて動いたのは、ADBに対する不満があったからです。1966年の発足時から最大出資国である日米(出資比率15・65%)主導で、総裁も初代の渡辺武氏から現在の中尾武彦氏に至るまで9代続いて日本人。それも、日銀出身のひとりを除いて全員元財務(大蔵)官僚です。財務省国際局長から財務官を経てADB総裁という天下りの指定席になっている。当然、67の加盟国から批判の声もありましたが、米国の後ろ盾もあって死守してきたのです」(財務省関係者)