台風で9人犠牲 岩手老人施設の悲劇は安倍無策政権の人災
5日、台風12号が九州北部に上陸した。先週、東北と北海道を襲った台風10号の爪痕がまだ残るのが、高齢者施設で9人が亡くなった岩手県岩泉町だ。今も500人以上が孤立し、町内全域の約1万人に避難指示が出ている。かくも甚大なダメージの災害が頻発するのは、歴代政権の無為無策がもたらした“人災”のためだ。
2年前に広島市で大規模な土砂災害が発生した直後、日刊ゲンダイは環境社会学者として滋賀県と近畿圏の水害被災地調査をした嘉田由紀子・前滋賀県知事を取材した。
その時のインタビューで〈水害を受けやすい場所に新住民が住む傾向があり、その土地の成り立ちを知らず、水害に遭う。そんな例が日本各地にある〉〈最近は福祉施設などが、(水害の)リスクが高い地域にできる傾向にあり、大きな問題をはらんでいる〉と指摘。まるで、岩泉町の災害を2年前に予見していたかのようである。
嘉田氏に改めて聞いた。
「岩泉町の高齢者施設は川沿いに立地しています。09年に山口県防府市で高齢者7人が亡くなった土地もかつて河川敷でした。土地所有者は、リスクを知ってか知らずか、利用価値の低い土地を、福祉施設などにして売り抜けようとします。河川敷のような場所に福祉施設の立地を認めた行政の責任です。行政は責任を持って安全管理をしないといけません」