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立憲民主党 枝野幸男代表「安倍政権の政治は権力ゲーム」

 小池新党の事実上の民進党“乗っ取り”に奮起し、枝野幸男代表がリベラル新党「立憲民主党」を立ち上げてから2週間。党公式ツイッターのフォロワー(読者)数は既に17万人を突破するなど、有権者の注目度は高い。12日間の選挙戦、「日本国民の生活の安心・立憲主義・民主主義、自由な社会をしっかり守っていく」「安倍政権をストップさせる」を柱に訴える。支持はどこまで広がるか――。

■誰でも普通に家庭を持てるのが「まっとうな社会」

  ――あらためて新党立ち上げの動機を振り返ると。

 民進党というのは確かに不十分かつ、頼りない面もありましたが、それでも相当数のボリュームゾーンを持つ国民の選択肢のひとつでした。しかし、その政党が候補者を立てない、となると、これまでの支持者はどこに投票したらいいのか。自らの立ち位置とは違う候補者に投票せざるを得ない状況というのは、民主主義論としても不幸であり、(政治家として)政治の責任を果たすためにも、受け皿をきちんとつくらなければいけないと考えました。それが最大の理由です。

  ――街頭演説では聴衆からの「枝野コール」がすごいですね。手ごたえはどうですか。

 短期間でこれほど大きな反響を頂けるとは思っていませんでした。正直言って期待以上です。

  ――大反響の理由をどう捉えていますか。

 私は「右」や「左」という既存の概念や、トップダウン型の強権的な政治ではなく、一人一人の価値観を大事にする政治を尊重し、できる限り多くの声に耳を傾けながら合意形成を図りたいと考えています。おそらく、有権者も、そういう姿勢が欠如した民主主義では困る、と潜在的に思っているのではないでしょうか。

  ――安倍政権の最もダメだと思う部分は。

 政治を権力ゲームと捉えていることです。権力ゲームに勝つこと自体が目的化していて、勝ったことに喜んでいる。それは19世紀の専制政治の発想であって、21世紀は民主主義の時代です。政治家の権力闘争は途中経過であり、我々政治家は国民の声を反映させるという道具に過ぎません。その意識が欠けているのではないか。選挙に勝てば好き勝手にやっていいと思っているのでしょうが、国民は政治家に白紙委任、全権委任をしているわけではない。

  ――新党のスローガンを「まっとうな政治」にした理由は。

 自然と浮かびました。安保法や共謀罪など、安倍政権は多数議席を使って強行採決を繰り返し、異論や反対意見に対して説得しようという意思がまるで感じられませんでした。これは、まっとうな姿ではありません。加計問題でも、友達(加計学園理事長)であれば、本来は(特区申請を)遠慮してしかるべき。それが、まっとうな政治というものだと思います。

  ――「まっとうな政治」による社会とは。

 今の日本では、学校を卒業し、正社員を希望しながらも、なれない人がたくさんいます。結婚して家庭を持ちたいという希望すら持てない人も多い。(政治が)そういう状況を放置し、景気が良くなった、などと開き直る社会というのは、やはり、まっとうではない。誰でも希望すれば、収入を得て、ごく普通に家族を持てる。よほど本人が怠けたり、サボったりしない限り、ローンを組んで自動車を買える。そういう生活を送ることができるのが、まっとうな社会だと思います。

インタビュー動画①

新自由主義路線の希望の党は自民と変わらない

  ――安倍首相は景気が上向き、雇用が拡大したと言っています。

 安倍さんがどんなに強弁しても、若い世代の中には苦しい生活を強いられている人が相当数います。繰り返しますが、これは「まっとうな社会」ではありません。ある切り口で経済統計を見れば、安倍さんが言うような意見もあるのは事実です。しかし、実際の国民生活に目が向いていれば、ああいう強弁はできません。少しでも国民の声に耳を傾けていれば気付くはずなのに、安倍さんは気付いていない。政治から排除、排斥されているという感覚が積み重なると、社会が分断され、活力が失われていく。今の日本は明らかにそういう状況に入っている。これは早く止めなければいけません。

  ――野党共闘について、どう考えていますか。

 我々は、市民連合から「安倍政権のもとでの9条改定は許さない」「安保法制、秘密保護法、共謀罪などの違憲立法は廃止する」――という7項目の政策について要望を受けました。それらの政策は最優先で取り組む課題であり、7項目に共感する候補者を乱立させ、そうでない人たちに漁夫の利を得させるべきではない、と思っています。ただ、一方で、他党では受け止めきれない声を我々が受けるために立ち上がったわけです。ここは、明確にしておく必要があると思うのですが、(右でも左でもなく)真ん中がスポッと抜けていると考えている有権者にとって、共産党や社民党が受け皿になることは難しいでしょう。

 私は自衛隊は合憲という立場であり、平和憲法の原則や専守防衛も含め、より良くなる法改正が可能であるならば改憲を否定しません。その意味では、保守の側面も持っています。市民連合が要望した7項目の政策や、安倍さんの政治姿勢におかしいと疑問を唱える部分では、他党と協力できるけれども、基本的には違う立場だということをしっかりと位置付けないと、受け止めきれない声がたくさん出てしまうと思います。

  ――希望の党について、どう見ていますか。

 理念や政策が我々とは違います。規制緩和で競争を加速させれば景気が良くなるという新自由主義の経済政策や自己責任を強調する路線は、安倍さんと共通です。また、我々は、国が専守防衛から逸脱せず、領土・領海をきちんと守るけれども、外に行く(集団的自衛権の行使)ことはない、というスタンスですが、希望の党はそうではない。我々と立ち位置は明確に違います。

  ――小池さんと枝野さんの言う「保守」の違いは何でしょうか。

 私は日本の歴史と伝統を大事にしています。急激な変化を求めず、漸進的に世の中を良くしていくというのが保守の定義。保守そのものです。日本の戦後70年の歩みというのは、リベラルな社会をつくってきました。そのリベラルな社会を守るというのが、本当の保守だと思います。保守とリベラルはイコールなのです。このリベラルな社会を壊そうというのは、現状の社会秩序を壊そうとしているのだから、革新です。本来の定義でいえば、安倍さんや小池さんは革新です。そこが混乱していると思います。私は保守であり、リベラルであるし、むしろ右と言うべきではないかとも思います。

■国会では足掛かりとなる勢力を作りたい

  ――選挙後に自公、希望による巨大連立与党が誕生するかもしれません。立憲民主党は、どう向き合う方針ですか。

 民主主義は1回の選挙で終わるわけではありません。我が党は今回、過半数の候補を立てられてはいませんが、次回は政権を取るかもしれない。そのような足掛かりをつくらせていただきたい。共産党や社民党も含め、国会の議席数がどのくらいのバランスになるか分かりませんが、足掛かりのある勢力がきちんと存在していれば、野党としてやれることはたくさんあります。そういうポジションの受け皿をつくり、国会のなかで一つの勢力をつくる。全てはそこからだと思います。

  ――民進党出身者の中には、不本意ながら希望の党から出馬を決めた候補者も多数いると聞きます。当選後に立憲民主党入りを望む場合の対応はどうしますか。

 確かに短い期間内での選択を迫られ、判断を誤ったという人もいると思います。(立憲民主党入りを求められた場合は)踏み絵や排除の論理を持ち出すつもりはありません。ただ、だからといって「はい分かりました」というのも民主主義論としては違う。まずは有権者との関係をきちんと整理し、理解を得られるプロセスを踏んでいただけるかどうか、が大変重要ではないか。

  ――当選者の目標ラインはありますか。

 選挙には始まる前から結果が見えている場合と、投票日の3日ぐらい前まで分からない場合があり、今回は後者だと思います。あまり見通しを立てても仕方がない。全力でやるしかありません。

(聞き手=本紙・遠山嘉之)

インタビュー動画②

▽えだの・ゆきお 1964年栃木県生まれ。東北大法学部卒。24歳で司法試験に合格し、91年に弁護士登録。93年の衆院選で、日本新党から出馬し、初当選。2009年の民主党政権で、行政刷新会議「事業仕分け」の統括役を務めたほか、内閣官房長官、内閣府特命担当相(沖縄・北方対策)、経産相などを歴任。民進党では初代幹事長、代表代行に就いた。当選8回。

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