どうなる? 玉城デニー沖縄県知事と菅義偉の“最終攻防”
辺野古移転阻止の沖縄決起、独立運動の行方
米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を抱える沖縄が新たな一歩を踏み出した。安倍政権のゴリ押しに徹底抗戦した翁長雄志前知事の遺志を継いだ前衆院議員の玉城デニー知事が就任。初会見で「米軍普天間飛行場の一日も早い閉鎖と返還、辺野古新基地建設阻止に全身全霊で取り組む」と改めて強調し、安倍政権に対して「対話によって解決策を導く民主主義の姿勢を求める」と訴えた。
ところが、安倍政権の対応はどうだ。菅義偉官房長官は「日米同盟の抑止力維持や普天間飛行場の危険除去を考えれば唯一の解決策だ」と常套句を繰り返し、沖縄県による辺野古埋め立て承認の撤回については「対抗措置を取ることになる」と脅しをかけた。玉城に過去最多の39万票を投じて県政トップに押し上げた沖縄の民意は、いまなお完全に無視されているのである。
先月末の知事選で安倍政権は国政選挙並みの総力態勢を敷き、玉城を潰しにかかったものの、自公推薦候補は8万票差で大敗。それを受けて安倍晋三首相は「選挙結果を真摯に受け止める。沖縄の振興、基地負担の軽減に努める」とコメントしていたが、よくぞ言ったものだ。
沖縄国際大大学院教授の前泊博盛氏はこう言う。
「言葉とは裏腹に、安倍政権はこれまで同様に強権を振るい、新基地建設を強行するのでしょう。県知事選で基地のない沖縄を求める民意が示されたのは2回続けてのこと。安倍政権による沖縄関係予算のカットなどで兵糧攻めにあっても、県民は基地ノーを選択したのです。この国は本当に民主主義国家なのか、本当に主権国家なのか。選挙で示された民意が否定され、政権による横暴が許される国は専制国家にほかならない。海の向こうの独裁国家と何ら変わりがありません」
■全国展開した復帰運動を再演
粛々と埋め立てを進める気のアベ冷血ペテン官邸の手口に、民意を追い風にする新知事に対抗手段はあるのか。玉城は「どのような措置がなされても、将来にまで過重な基地負担を押し付ける無責任さは非常に重い問題だと訴え、県の主張が認められるよう全力を尽くしたい」と決意を口にしていた。安倍官邸が玉城県政との対話を拒めば、辺野古移設の是非を問う県民投票が年内に実施される公算大だ。沖縄県政に詳しいジャーナリストの横田一氏は言う。
「玉城知事は県民投票と共に、本土復帰運動を念頭に置いているようです。米軍施政下で苦艱の暮らしを強いられた県民が一丸となり、全国を行脚して大々的なキャンペーンを張った。翁長前知事は激しい復帰運動が原点の保守政治家でしたから、後継の玉城知事も徹底的に闘う覚悟を決めています。理不尽な仕打ちに声を上げる市民のうねりを県外に広げていこうというのです」
玉城県政スタート後の玉城と菅の初顔合わせは、9日に予定される前知事の県民葬だ。菅は新任の宮腰光寛沖縄・北方担当相を連れて出席するが、安倍は都内で予定される外交スケジュールをこなすとの理由で欠席するという。
「翁長前知事は菅官房長官に4カ月も会談を拒否された。玉城知事は県民葬後に上京して会談を持ちたいとしていますが、今回も同様に扱われるのではないか」(野党関係者)
玉城と菅の最終攻防はどうなるのか。