高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

薩長史観にからめ捕られた「明治150年」安倍政権の危うさ

公開日: 更新日:

 安倍晋三首相が23日午前に東京・憲政記念館での「明治150年記念」の政府式典に出て、その後に北京に向かい「日中平和友好条約40周年記念」の日中首脳会談に臨むというのは、歴史の皮肉な巡り合わせというほかない。

 安倍政権の明治150年の迎え方の基本は、「明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは大変重要」(内閣府ホームページ)というもので、明治以降のこの国の歩みをノーテンキなほど肯定的に捉えて、それを「日本の強み」に自信を深めるバネにしようとしている。しかし、その150年を中国はじめアジアの側から見れば、日本に侵略されてその傷跡が今なお癒えないでいる惨憺たる時代である。それを何とかしなければいけないということで日中国交が正常化されて46年、さらに平和友好条約を結んで40年も経ったのに、いまだに両国はまともな隣人関係を築くことができないでいる。

 そもそも「明治の精神」とは何か。私に言わせれば、薩長中心政府の野蛮な国権主義と対外拡張主義による「大日本主義」のことである。その代表的なイデオローグである吉田松陰は「北海道を開墾し、隙に乗じてカムチャツカ、オホーツクを奪い、琉球にもよく言い聞かせて幕府に参勤させるべき。また朝鮮を攻めて古代の昔のように日本に従わせ、北は満州から南は台湾・ルソンの諸島まで一手に収め、次第次第に進取の勢を示すべき」(「幽囚録」、著作集=講談社学術文庫所収)といっていた。1869年北海道併合、79年琉球併合、95年台湾併合、1910年朝鮮併合……と、薩長政府はそこに書いてあることをほとんどその通りに行い、中国からさらに南進してルソン島まで攻めていって自滅した。

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