消費増税とアベノミクスで物価は6.6%も上昇した
実質賃金についてお話しします。
実質賃金は、名目賃金(金額そのままの賃金)を消費者物価指数で割った値のことです。これにより、本当の購買力が分かります。例えば、名目賃金が10%上がったとしても、消費者物価指数が10%上がってしまえば、実質賃金の上昇率はゼロであり、購買力は変わりません。賃金は「実質的に言って」上がっていないことになります。
このように物価を考慮しないと本当の賃金の姿は見えません。したがって実質賃金が重視されるのです。実質賃金は、物価の伸びが賃金の伸びを上回ると下がります。2018年と12年を比較すると、実質賃金の算定基礎となる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は6.6%も伸びています。その一方で、名目賃金は前回説明した凄まじいインチキを駆使しても6年間で2.8%しか伸びておらず、アベノミクス前と比較して3.6%も低いのです。
物価が上がったのは14年の消費増税に加えて、アベノミクス第1の矢である異次元の金融緩和によって円安インフレが生じたためです。日銀の試算によると消費増税による物価上昇は2%とのことですので、残りは円安が最も影響したと言っていいでしょう。