まるで殿と代官と悪徳商人…政権と官僚の正しい関係どこへ
ところが、今のわが国では、政治権力者に近ければ、「輸出奨励」などと口実を立てて、儲かっている大企業が減税を享受でき、教授陣も図書も充足していない大学が公的助成を受けて学部を新設することができ、首相の選挙区の市議の推薦を受けただけで何の「功績」もない者が首相主催の桜を見る会で国費で接待を受けることができる。まるで江戸時代劇の「殿と代官と悪徳商人」を見ているようで胸が悪くなる。
しかも、不正が指摘された途端に、官僚が全力で隠蔽し、立証されない以上、悪事はなかったことにされてしまう。そして、隠蔽に狂奔した官僚は恥ずかしげもなく栄転していく。
これは、政権が官僚の人事に直接手を出すようになったために、官僚が法律と予算(つまり法治主義)を盾に与党政治家の理不尽な要求(つまり人治)を拒むことができなくなったためである。
民主的議会運営の先例国・英米の制度を持ち出すまでもなく、わが国の「内閣人事局」という存在は、法律で憲法を壊した制度以外の何ものでもない。