水戸の古書店で見つかった蔵書には竹村さんの名前が
プルトニウム製造係長 竹村達也さん
動燃でプルトニウム製造係長を務めていた竹村達也は、フランスの高速増殖実験炉「ラプソディ」に核燃料を納めるプロジェクトの現場責任者だった。しかし、竹村たちが造った燃料は不良品としてフランスから返品されてしまう。
燃料は1970年に造り直すことができたものの、竹村はプルトニウム燃料部を外される。異動先は技術部の検査課試験係。核燃料を覆う被覆管の性能をチェックする仕事だ。プルトニウム燃料部にいたかつての科学者たちは「ラプソディプロジェクトの失敗で左遷された」と口を揃えた。
竹村が動燃を退職して失踪したのは72年。竹村は動燃での最後を、この技術部検査課試験係で過ごした。
■毛色が違った技術部
私は技術部にいた動燃の元職員がいないか捜した。当初の取材では、プルトニウム燃料部での仕事仲間たちから証言を得ていたが、プル燃のOBたちは技術部にいた人たちとは交流がなかった。プル燃のOBたちは、アメリカやフランスへの留学経験者もいる「エリート」。技術部とは毛色が違うようだった。