動燃総務部と茨城県警が監視 技術元職員がヒントをくれた
プルトニウム製造係長 竹村達也さん
竹村達也の失踪事件を取材するきっかけになったのは、竹村の元部下が茨城県警勝田署(現・ひたちなか署)の刑事から聞いた言葉だった。
「北に持っていかれたな」
この言葉を元部下が聞いたのは、1972年3月に竹村が失踪した直後のことだ。
72年といえば、北朝鮮による拉致は何の話題にもなっておらず、国民のほとんどは知らなかった頃だ。なぜ刑事は北朝鮮による犯行を疑ったのだろう?
しかも刑事は茨城県警本部ではなく、所轄署の刑事だ。所轄署は地域で起きる比較的小さな事件を取り扱う。国際犯罪を常に意識しているとは思えない。
しかし、ヒントをくれた人物がいた。竹村が動燃での最後を過ごした技術部の元職員だ。彼は中学卒業後、日雇いとして動燃で働いた。その後、正規職員になって労働組合の活動に取り組んだ。
■組合活動に目を光らせる
元職員は言う。