澤章
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澤章東京都環境公社前理事長

1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。YouTubeチャンネル"都庁OB澤章"を開設。最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)

「ファクス行政」と揶揄も…保健所は超時代遅れの化石状態

公開日: 更新日:

■連動しない都、保健所、国のシステム

 彼らの業務は派遣先の保健所によって異なるが、基本は連絡業務や集計作業のサポートだ。だが中には、感染者への連絡をズブの素人である都職員が任される場合もあると聞く。それほどまでに保健所は逼迫しているということである。

 都職員の派遣で保健所をバックアップとはさすが小池知事――などと能天気に喜ぶのは早計である。都から職員が派遣されたことで保健所行政が抱える決定的な欠陥が露呈することになったのだ。

 保健所には3種類の集計システムがある。1つは都職員が持ち込んだもので、主にホテル療養者の情報が入っている。2つ目は保健所のシステムで、保健所ごとの感染者の詳細な情報を管理している。そして最後が厚生労働省のシステムで、通称ハーシスと呼ばれて全国をカバーしている。都と保健所のものはシステムと呼べるようなものではなく、(マイクロソフトの表計算ソフト)「エクセル」で作った表に毛が生えた程度の代物だ。


 問題はここからである。都と保健所と国、3つのシステムは相互に全く連動していないのだ。一カ所に入力すれば他のシステムに自動的に反映されるということがないため、システム上で相互チェックすることが全くできない。だから、都の派遣職員は毎日、手入力でこっちのデータをあっちに、あっちのデータをそっちにと打ち込んでいる。にわかには信じられないが、これが今の保健所の実態である。

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