適菜収
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適菜収作家

近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中

黒岩祐治・神奈川県知事は混乱に乗じて転身したデマゴーグ

公開日: 更新日:

 デマゴーグの類いが地方首長に転身するケースが増えている。その先駆けがフジテレビの元キャスターで神奈川県知事の黒岩祐治だろう。神奈川県では元日に470人の新型コロナウイルス感染を確認。黒岩は「目の前に医療崩壊が迫っている」とし、「徹底的な外出自粛」を呼び掛けた。また感染した患者が入院する病院を調整する作業が難航し始めていることを明らかにし、「ステージ4(爆発的感染拡大)は間近」と警鐘を鳴らした。ではこの男はこれまでなにをやってきたのか。グロテスクな人体実験である。

 昨年10月30日から3日間、黒岩はコロナ感染防止と大規模イベントを両立できるか検証するため、横浜スタジアムで行われたプロ野球の試合で、収容人数の制限をなくし、満員に近い観客を入れる人体実験を行った。

 当時黒岩は「6月ごろから、横浜スタジアムを満杯にする計画を作ろうと考えていた。来年の東京五輪に向けて、大きな一歩になる」と発言。「密集」「密接」状態をわざわざ作り出し「大丈夫」かどうか確かめるというわけだ。狂気の沙汰である。

 もともと卑劣でデタラメなこの男。2011年4月の知事選では「4年間で200万戸分の太陽光パネル設置」を公約に掲げ、初当選。しかし投票日の翌日には「具体的な議会の日程などを考えると、時間がない」と後退。同年10月、記者団が公約の不履行について追及すると、黒岩は「あのメッセージは役割を終えた。忘れてほしい」と返答した。公約の不履行をごまかす政治家はいるが「忘れてほしい」というのは前代未聞。要するに、同年3月11日に発生した東日本大震災および福島第1原子力発電所事故による社会混乱を悪用して政界に潜り込んだわけだ。

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