菅政権が“酒屋の乱”に白旗! 集票団体の猛反発に自民は血税で手打ち画策

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 菅政権は虎の尾を踏んでしまったようだ。政府は13日、酒類販売業者に対し、緊急事態宣言などに伴う酒類提供の停止要請に応じない飲食店との取引停止を求める方針を取り下げた。取引先の金融機関を通じた西村コロナ担当相の恫喝発言の撤回に続き、さらなる“白旗”に追い込んだのは、自民の大票田の猛反発。支持率が低迷する中で解散総選挙を控え、「酒屋の乱」に菅政権はタジタジだ。

  ◇  ◇  ◇

 自民党内の議員連盟「街の酒屋さんを守る国会議員の会」は13日、緊急総会を開催。酒販業者からなる「全国小売酒販組合中央会」と意見を交わした。

 中央会の吉田精孝会長は前日、自民党本部で下村博文政調会長と面会。取引停止要請の見直しを求めていた。8日に内閣官房コロナ対策推進室と国税庁が卸業者を含む酒販などの関係団体に取引停止を文書で依頼した翌日にも、中央会は西村大臣らに抗議文を提出していた。

 酒販業者にとって、飲食店は大事なお得意さま。「長年培ってきた取引関係がなくなってしまう」との猛反発に自民党は真っ青。吉田会長以下、中央会の幹部数十人が出席した総会で議員の会の主要メンバーが口にしたのは、同会への同情と飲食店への“圧力要請”に対する批判だ。

■「許しがたいことばかり」「明らかに憲法違反」

 会長の田中和徳前復興相は「今日の状況を考えると許しがたいことばかり」と強調。最高顧問の野田毅元自治相は「酒が諸悪の根源のような扱いをすること自体が間違っている」「何らかの圧力を加えるようなことを言及することは言語道断で明らかに憲法違反」とまで言い放った。

中央会は長年の“集票マシン”

 ここまで踏み込んだ発言の裏には、中央会とのズブズブ関係がある。2016年には同会の働きかけで、酒類の過剰な値引きを規制する「改正酒類業組合法」が成立、19年には同会の水口尚人理事が参院選に自民党の全国比例で出馬した。同会お抱えの議員誕生とはならなかったものの、組合員は約4万5000人(19年時点)と、自民にとっては長年の“集票マシン”なのだ。

 実際、秋までに迎える衆院選への影響を懸念してか、総会には山口泰明選対委員長の姿も。森山裕国対委員長も駆け付け、中央会幹部を前に「本当にご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」と平身低頭だった。

 しかし、謝っても怒りは収まらない。落としどころは中央会への補償だ。

■総選挙を前に「スピーディーな支援策」

 総会で取りまとめられたのも取引停止の依頼撤回と酒販業者への財政支援の拡充だった。終了後に会長の田中氏は「撤回したとか、釈明したということだけで、済む話ではないんじゃないか」と懸念を示し、議連として「とにかくスピーディーな支援策を政府側に求めていきたいと思っております」と強調した。要はカネで“手打ち”といきたいわけだ。

 ひと月あたりの支援金が上限10万円(個人事業主等)~20万円(中小法人等)の卸・小売業者にすれば支援拡充は切実な願いとはいえ、あり得ない方針の尻ぬぐいに使われるのは血税だ。政権が早くから必死に支援していれば問題はなかったのに、これではモヤモヤ感が募る。

 票を失うまいと四苦八苦の自民に、国民はもっと怒っていい。

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