既存の政策にこだわり続けたのが失敗…菅首相の退任を心から歓迎する
菅首相が自民党総裁選挙に出馬しないことで、菅政権の終わりが告げられた。日本国中、このニュースを歓迎したと思う。日経平均が一気に前日比600円超も上がったのが象徴的だった。
菅首相の離脱は日本のために本当に良かったと言える。東アジア企業の時価総額のトップ10で、日本企業は6位にトヨタ自動車がいるだけだ。時価総額上位200社の国別シェアを見ると、日本はバブル全盛期の90年代には大手銀行を中心に約9割を占めていたが、10年前に38%に下がり、今は27%だ。かつ、将来につながる研究開発の分野でも、日本はどんどん比重を減らしている。
こうして日本が厳しい曲がり角にある中、安倍・菅内閣は客観的事実を見ることを避け、既存の政策に固執した。
厳しい選択が迫られる時、情勢の変化に呼応し、政策は柔軟でなければならない。既存の政策にこだわり続けることは大きい失敗を招く。
例えば新型コロナウイルス対策だ。一時期、ワクチンを接種すればコロナが収束するとの考えが広まった。代表例はイスラエルである。同国では今年3月には国民の過半数が2回目のワクチン接種を完了し、5月には新規感染者数が10人を割る日もチラホラ出るようになった。ところが、8月には新たな感染者は1万人を超え、9月1日には1万1615人となった。イスラエルの首相はファイザー社などのワクチンについて、デルタ株などの感染予防には限界があり、ワクチンの効果は時間の経過とともに衰える――として、新たな対応を模索している。