孫崎享
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孫崎享外交評論家

1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。

既存の政策にこだわり続けたのが失敗…菅首相の退任を心から歓迎する

公開日: 更新日:

 菅首相が自民党総裁選挙に出馬しないことで、菅政権の終わりが告げられた。日本国中、このニュースを歓迎したと思う。日経平均が一気に前日比600円超も上がったのが象徴的だった。

 菅首相の離脱は日本のために本当に良かったと言える。東アジア企業の時価総額のトップ10で、日本企業は6位にトヨタ自動車がいるだけだ。時価総額上位200社の国別シェアを見ると、日本はバブル全盛期の90年代には大手銀行を中心に約9割を占めていたが、10年前に38%に下がり、今は27%だ。かつ、将来につながる研究開発の分野でも、日本はどんどん比重を減らしている。

 こうして日本が厳しい曲がり角にある中、安倍・菅内閣は客観的事実を見ることを避け、既存の政策に固執した。

 厳しい選択が迫られる時、情勢の変化に呼応し、政策は柔軟でなければならない。既存の政策にこだわり続けることは大きい失敗を招く。

 例えば新型コロナウイルス対策だ。一時期、ワクチンを接種すればコロナが収束するとの考えが広まった。代表例はイスラエルである。同国では今年3月には国民の過半数が2回目のワクチン接種を完了し、5月には新規感染者数が10人を割る日もチラホラ出るようになった。ところが、8月には新たな感染者は1万人を超え、9月1日には1万1615人となった。イスラエルの首相はファイザー社などのワクチンについて、デルタ株などの感染予防には限界があり、ワクチンの効果は時間の経過とともに衰える――として、新たな対応を模索している。

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