国民愚弄の裏金議員党内処分 ふざけた内幕と今後の内ゲバ(上)

公開日: 更新日:

 いったい自民党というハレンチ集団は、どこまで国民を愚弄すれば気が済むのか。派閥パーティー裏金事件が火を噴いて5カ月。実態解明が一切進まないまま、“やってる感”の末の「処分」パフォーマンスで幕引きとは、茶番劇にもほどがあるというものだ。

 自民党は4日開いた党紀委員会で裏金議員ら39人の処分を決定した。安倍派座長だった塩谷元文科相と同派参院トップだった世耕前参院幹事長は党規約で2番目に重い「離党勧告」。事務総長経験者の下村元文科相と西村前経産相は3番目の「党員資格停止1年」、高木前国対委員長は「同6カ月」。残りの安倍派幹部や二階派幹部は別表の通り。ほとんど実害のない軽い処分で、他に「6カ月の役職停止」「戒告」などと処分は6段階に区分けされた。

 もっとも、ほぼ事前に報じられていた通りの内容で、処分された議員らが「心よりおわび」などのコメントを続々発表しても鼻白む。そもそも自民党の内輪の処分である。国会議員のバッジを外すわけでもなく、大仰に見せているだけで、当人たちは内心、痛くもかゆくもないんじゃないか。

 処分決定を受け、岸田首相も「深刻な政治不信を引き起こし心からおわびする」と発言したが、こんな処分に自民党員だって納得しないだろう。

 国民が知りたいのは、なぜ、何のために裏金をつくり、何に使ったのか、だ。ところが、お手盛り調査でノラリクラリ。政治倫理審査会では知らぬ存ぜぬ。自浄能力のなさを見せつけた。

 加えて、呆れ果てるのは、裏金をつくっていても「5年間で500万円未満」ならば、茂木幹事長の「注意」だけの無罪放免となったことだ。その数、約40人に上る。

 組織ぐるみの裏金づくりの悪質さは、金額の多寡によらない。政治資金収支報告書の不記載を“修正”しても使途は「不明」だらけで、本来、裏金は「雑所得」として所得税の課税対象になる。ところがこの期に及んでも、誰ひとりとして納税する気がないのだから厚顔にもほどがある。

「国に収めるべきお金を懐に入れてしまったのだから、脱税は窃盗より悪質で大変な犯罪です。500万円とか金額の問題ではなく、少額でも許されない。岸田首相という泥棒の親分が子分を適当に処分する。国民をナメ切っています」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)

 国民の税金は1円も負けてもらえないのに、この不公平は何なんだ。岸田はこれで裏金事件にフタをして逃げるつもりだろうが、そうは問屋が卸さない。納税者は脱税疑惑集団のフザケた線引きを忘れない。必ず鉄槌を下すと、改めて決意しているはずだ。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    異常すぎる兵庫県政…中学生記者が初めて出席した定例会見での斎藤元彦知事には、表情がなかった

  2. 2

    総裁選前倒し訴え旧安倍派“実名OK”は3人のみ…5人衆も「石破おろし」腰砕けの情けなさ

  3. 3

    「ポスト石破」最右翼の小泉農相“進次郎構文”また炸裂の不安…NHK番組で珍回答連発

  4. 4

    高市派「石破おろし」巻き返しに漂うヤブヘビ感…杉田水脈氏らが保守系月刊誌で開陳しためちゃくちゃ論調

  5. 5

    石破おろしは9.10が終焉の節目に 「記名・公表」で自民総裁選前倒しのハードル上がる

  1. 6

    「石破おろし」強烈すぎる“踏み絵”に広がらず 読売調査でも過半数に届かず…焦点は2日の総括委の結果

  2. 7

    いよいよ総括報告と両院議員総会…「石破おろし」の賛否“号砲”で自民党の分断が加速する

  3. 8

    小泉純一郎と山崎拓が石破首相に授けた「郵政解散」の極意…旧安倍派残党は“抵抗勢力”、徹底締め上げ進言

  4. 9

    石破首相は退陣か、総裁選出馬か、衆院解散か? 総裁選前倒し高まり党内アンチと全面対決の様相

  5. 10

    混迷する伊東市 学歴詐称市長「居座り」のモチベーション…不信任可決でもまだ“失職への通過点”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 3

    サントリーHD会長を辞任!新浪剛史氏の意外な私生活、趣味は「極妻」鑑賞と…違法薬物めぐり家宅捜索

  4. 4

    佐々木朗希、「9月限りで今季終了」に現実味…WS連覇へ一丸のドジャースでひとり蚊帳の外

  5. 5

    ドジャース大谷翔平に深刻な疲労蓄積…安打も本塁打も激減、「明らかにスイング鈍化」との指摘も

  1. 6

    巨人に漂う不穏な空気…杉内投手チーフコーチの「苦言連発」「選手吊るし上げ」が波紋広げる

  2. 7

    サントリーHD新浪会長宅ガサ入れはすでに噂されていた? 報道より1週間先行していたX投稿に注目集まる

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  4. 9

    《浜辺美波がどけよ》日テレ「24時間テレビ」永瀬廉が国技館に現れたのは番組終盤でモヤモヤの声

  5. 10

    開示された3回目の「森友文書」で発覚! 財務省「黒塗り」の“お寒い”内情