福岡厚労相ついに“白旗”…健康保険証の代わり「資格確認書」の一律送付「最後は自治体の判断に委ねる」
■渋谷区と世田谷区は羨望の的
資格確認書の一律交付に関して、愛知県保険医協会が先月、県内54自治体を対象に聞き取り調査を実施。渋谷、世田谷に続いて一律交付する予定の有無や、実施しない場合の事務の混乱や負担の懸念などについて聞いたところ、次のような回答が寄せられた。
〈県下として通達が出れば倣うが、あまり国を刺激するようなことはしたくない。が、現場の意見としてはかなり負担を伴う作業になるので、東京の取り組みが羨ましいし、効率的だと思う〉
〈正直一律で送れるなら効率的だと思うし、そうしてほしい。県下全自治体が一律送付を決めるくらいの勢いでないと難しいと感じる〉
厚労省が奨励する「後期高齢者だけに資格確認書を一律交付」では非効率というわけ。マイナ保険証が使えない場合の資格確認に必要な「資格情報のお知らせ」も混在しているとあって、〈窓口では相当にぎやかになると思っている〉と懸念する声も出ている。
福岡厚労相は衆院厚労委で「自治体の声については、しっかり承ってまいりたい」と答弁する一方、一律交付については「そうした状況にない」と従来の立場を繰り返し強調。ただ、柚木議員が「他の自治体が渋谷・世田谷方式を真似ても、国は禁止できないはずだ」と迫ると、「(交付は)自治事務でございますので、最後は自治体の判断」と“白旗”をあげた。
国としては一律交付を認めないが、実施の判断は自治体に委ねる――。「端的に言って、ずるい答弁」(愛知県保険医協会事務局)だが、資格確認書の一律交付の機運が高まれば、国保だけでなく被用者保険にも波及するはず。次はどの自治体が続くか。