「厳しい安全保障環境」の真贋 軍事国家へ“マッチポンプ”の恐ろしさ

公開日: 更新日:

勇ましいことを言えば支持層に受けるという浅薄な考え

火遊びでは済まない(C)ロイター

 高市国会答弁に中国が猛反発しているが、これは向こうの外交戦術として、わざわざ刺激し、その一方で軍拡邁進という手法の方が問題だ。

 戦争補正、武器輸出、非核三原則の見直し、日本版CIAなど「戦争できる国」にしゃかりきの首相は危うい日中関係を利用するのか。

  ◇  ◇  ◇

 高まる緊張の先には何があるのか。

 高市首相が7日の衆院予算委員会で、台湾有事が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると答弁したことに対し、中国側が猛反発している。

 中国の薛剣・駐大阪総領事が8日、X(旧ツイッター)に「汚い首は斬ってやる」などと過激な発言を投稿(現在は削除済み)。その後も13日に中国の外務次官が日本の駐中国大使を呼び出して発言の撤回を求め、応じなければ報復する可能性を示唆すると、翌日には日本の外務次官が中国の駐日大使を呼び出し、抗議する応酬が続いた。

 さらに、中国外務省は日本への渡航を当面の間、自粛するよう中国国民に注意喚起。16日は中国教育省も日本への留学は慎重に検討するよう呼びかけた。「日本に滞在する中国人のリスクが高まっている」というのだ。中国国際航空などは日本発着便のキャンセルに無料で対応するという。

 駐大阪総領事の投稿はいただけないし、高市が発言を撤回しなければ、中国側は対抗措置をさらにエスカレートさせる可能性もある。 

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り2,509文字/全文3,107文字)

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  3. 3

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  4. 4

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  5. 5

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  1. 6

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  2. 7

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  3. 8

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  4. 9

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  5. 10

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性