権藤博がチクリ「監督賞も罰金も指導者の自己満足」
<近鉄時代の笑い話>
中日の谷繁元信監督(42)が、秋季キャンプでの紅白戦で4回を無安打4奪三振に抑えた1年目の若松駿太(18)という投手に、3万円の賞金を出したという。監督賞第1号ということで、名古屋のスポーツ紙では大きく報じられた。注目されることで、本人には励みになろう。谷繁監督の狙いもそのあたりにあるのだろうと推測する。
逆に言えば、監督賞にはその程度の効果しかない。シーズン中、貴重な働きをした選手にやたらと賞金をバラまく監督は結構いて、それがナインのヤル気に一役買っているなんて話を聞くと、私などは「くだらない」と鼻白んでしまう。
以前、このコラムにも書いたが、私もその手の賞金を選手に出したことはある。中日一軍投手コーチとして現場に復帰した一昨年、中継ぎとして貴重な働きをしてくれた新人の田島慎二(23)にシーズン中盤、「打たれたら賞金をやる」と言った。無心で投げていた彼が、結果を残すにつれ、いい投球をしたい、打たれたらどうしよう、と欲を出して結果を気にし始めた。慎重になり過ぎ、カウントを悪くして打たれるという悪循環に陥ったので、1死満塁のピンチを迎えたところでマウンドに行き、「打たれたら賞金を出してやる」とハッパをかけた。「抑えたら」ではなく、「打たれたら」というところがミソ。要するに、結果を怖がらずにストライクを投げなさい、というのが私の真意であった。