【13’ドラフト選手 家庭の事情】オリックス1位 吉田一将 (JR東日本 投手)
高校進学時、身長はすでに180センチを超えていた。実績はないが、この大型右腕には地元の天理や智弁学園といった強豪校から声が掛かった。しかし、なぜか奈良から遠い青森山田を選んだ。理由は当時、東京の大学への進学率が高かったからだった。
「自分で決めれば逃げられない。自分で責任を取るしかなくなります。だから本人の気持ちを尊重しました。私は近くの天理に行って欲しかったですけどね。応援に行くにも近いですし、青森は遠いですから」(清美さん)
■「辛抱を褒めてあげたい」
思惑通り、日大へと進学し、JR東日本に就職した。潜さんは「高校の時なんてエースでもないのに、日大の方が見ていてくれた。JRという大企業にも就職できた。ありがたい話です」と言う。清美さんは「うれしいのは息子がプロ野球選手になったことじゃないんです」とこう続ける。
「社会人になって少し活躍するようになって、雑誌の表紙に載った時はうれしかった。それまで大した実績もありませんから、よくここまできたなあと。一将を褒めたことはあまりないんですが、右や左にそれずによく野球を続けてきたなあと。高校は青森まで行ったのにエースになれなかった。『もういいや』と野球をやめていてもおかしくないじゃないですか。補欠でもずっと辛抱して野球を続けてきた。それだけは褒めてあげたいですね」