<第36回>2日間で9回 大きな制球ミスはほとんどなかった

公開日: 更新日:
センバツでは終盤の1点もやれない場面で2ランを浴びた(C)日刊ゲンダイ

 12年初夏のこと。日本ハムGM(現スカウト顧問)の山田正雄は、関東のある学校のグラウンドにいた。

 花巻東を含めた3校が、2日間にわたって練習試合をする。そこで大谷が2日で9イニングを投げるという情報を得たからだ。1日目に5回投げたら、2日目は4回。連投するわけだし、肩のスタミナをチェックするにはもってこいだと思った。試合終盤の失投が許されない場面で、コントロールミスをしてしまう。どんなに良い球を投げても、そういう投手はプロに入って苦労するケースが多い。山田は大谷が春のセンバツ1回戦(対大阪桐蔭戦)で見せた投球を評価しあぐねていた。

 大谷はしかし、骨端線損傷からの病み上がり。走り込みや投げ込みが不足して、スタミナ切れの可能性がある。中盤から少しずつ、球も浮きだしていた。だとすれば、ミスをしたのもやむを得ない。体調が万全でも同様の失投があるのかどうか、投手としての実力を評価するにはもう少し、追い掛けてみる必要があると感じていた。

 試合が始まった。外角に、質の良いストレートが決まる。翌日も大きなコントロールミスはほとんどない。打者はまったくといっていいほど手が出なかった。センバツでの制球ミスは故障明けによるスタミナ不足が原因、体調が万全ならこういう投球もできるのだと知った。

 しょせん、高校生だ。細かいコントロールまでは期待できない。ただ、1イニング、極端な話、1球だけでも理想的なポイントに投げられるようなら、力はある。素質はあるのだから、練習によって確率を上げていけばよい。

 問題はその子の性格だ。プロは生き馬の目を抜く世界。ボール一つ、バット一本で食べていくためにしのぎを削る。アマチュアとは違う。

 プロの水に慣れ、普段通りの力を発揮するまでに1年以上かかる大学生も中にはいる。技術を磨き、レベルアップするのはそれからになる。だからこそプロで比較的、早い時期に活躍するためには、技術、体力に加えて性格的なプラスアルファが必要だと、山田はこう言った。

「東京や大阪などの都会と比べると、 

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り308文字/全文1,186文字)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に