MLBと正反対 日本で期限直前にトレード活性化しない理由
野球界で「7月31日」といえば、「トレード期限」。米メジャーではこの日が近づくにつれて、選手のトレードが活発化する。29日はレンジャーズとフィリーズで大型トレードが成立。レンジャーズが25日にノーヒットノーランを達成した左腕ハメルズら2選手を獲得する代わりに、6選手をフィリーズに放出した。リーグ優勝を狙える上位チームは下位球団から主力選手を獲得。下位に低迷する球団は主力を放出する代わりに、上位球団から若手選手を獲得して来季に備えるからだ。
ところが、日本球界はこのトレードに消極的だ。セ・パ両リーグの開幕以降に成立したトレードは、巨人と日本ハムの間の1件だけ。巨人の矢野、須永が日本ハムの矢貫、北と2対2で交換されただけだ。なぜ、日本ではメジャーのように頻繁に「選手交換」が行われないのか。
一つは、「人間関係」によるものだ。
プロ野球は基本的にドラフトで選手を獲得するが、指名までには人のつながりが重視される。例えば、ある大学の有力選手を取りたいときは、球団のスカウトや編成担当者は選手の監督や関係者を訪問。人脈を駆使して、「指名OK」の承諾を得るケースが多い。そうやって指名、獲得した選手をトレードで放出したとなれば、選手の関係者に申し訳ないという意識が働く。どうしてもトレードに出す際には、出身校の監督などに事前に相談する球団もある。学校とのパイプが途切れたら困るからだ。