著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

日本ハム栗山監督の大胆采配に見る「成功体験」の乏しさ

公開日: 更新日:

■指導者経験ゼロで監督就任

 そういった栗山監督の柔軟な思考という点において、私が注目したいのは現役時代の成功体験の乏しさだ。ご存じのとおり、栗山監督は決してスター選手だったわけではない。甘いマスクで人気があったものの、病気の影響もあって通算336安打、29歳で引退。その後もコーチとして辣腕を振るってきたわけではなく、指導者経験ゼロのまま日本ハムの監督に就任した珍しい人物だ。

 だから、元スター選手の監督や、コーチ経験が豊富な叩き上げ監督にありがちな自己流への固執、あるいは成功体験を根拠とした持論みたいなものが、彼にはあまり見られない。「俺はこれで成功した」「俺はこれで誰々を育てた」という輝かしい過去の栄光的な体験がないからこそ、学術的なアプローチで野球理論やコーチング理論を研究し、その結果として生み出した多様なアイデアをあれこれ試行錯誤しながら実行できるのではないか。

 栗山監督は2004年に白鴎大学経営学部の助教授に着任し、08年に教授に昇進後、現在も同大学に籍を置いていることでも知られる。彼のやっていることは、野球を専門とした学術の社会実装であるとも考えられる。だから、記者が考えた打順も、面白がって受け止められるのではないか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘