権藤博
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権藤博野球評論家

1938年12月2日、佐賀県鳥栖市生まれ。鳥栖高からブリヂストンタイヤを経て61年に中日入り。1年目に35勝19敗、防御率1.70という驚異的な成績を挙げ、最多勝や沢村賞などタイトルを総ナメに。連投に連投を重ねる姿に「権藤、権藤、雨、権藤」の流行語が生まれた。68年に現役引退後は各球団の投手コーチを歴任。横浜で初の監督に就任した98年にはいきなりペナントを制し、38年ぶりの日本一に導いた。

2試合12四死球と大荒れ それでも大谷の制球心配なしの根拠

公開日: 更新日:

 エンゼルスの大谷翔平(26)が荒れている。

 2試合に登板した紅白戦で打者計25人に対して、12四死球。なにしろ、トミー・ジョン手術を経て今季が2年ぶりの投手復帰となるだけに、その後遺症を含めて周囲が気を揉むのも分からないのではない。7四球を与えた8日の紅白戦が、実に674日ぶりとなる実戦登板。いくらブルペンで投球練習をしてきたとはいえ、打者がいる実戦形式のマウンドはまったく別物だ。意識をしなくても余計な力は入るし、抑えが利かずに、抜けたり、引っかけたり、は仕方がないだろう。そう心配することはないと思う。

■「キャッチボールが一番大事」

 もうひとつ、これなら大丈夫、と思う根拠が、5四死球を与えた14日の紅白戦後の本人のコメントにある。スポーツ紙の報道によれば、24日に迎える開幕までの投球フォーム修正に関して、「一番大事なのはキャッチボール。キャッチボールでフィーリングを確かめる」と言ったことだ。

 これは、私の持論でもある。プロでもキャッチボールをおろそかにする投手が実は少なくない。日本ではいまだに、「コントロールをつけるには、とにかく投げ込みをすること」という、バカな理論がまかり通っている。そんなことをして、いたずらに肩や肘を消耗するよりは、キャッチボールでフォームのバランス、リリースポイントを確認した方が、はるかに意味がある。例えば、新しい変化球を覚えるのも、ブルペンで額に汗して必死に球数を重ねるより、キャッチボールのときに遊び感覚で試した方が身につくものだ。制球力にしても変化球にしても、微妙な感覚を得ようとする際、無駄な力は邪魔になる。大谷にもヤンキースの田中将大巨人の菅野あたりにも、そうアドバイスしたことがある。

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