復帰先発で炎上KOの大谷翔平 今オフ調停権で来季年俸は?

公開日: 更新日:

イチロー「3年やって一人前」

「3年やって一人前」

 マリナーズなどでメジャー記録を次々に打ち立てたイチローは、ことあるごとにこう言っていた。

 その年だけ活躍してもダメ。3年続けて活躍して初めて、それなりの評価を得られるということだ。メジャーの過酷な生存競争に打ち勝ってきたイチローならではの重みのある発言で、「3年やって一人前」と認められるいい例が選手の年俸ではないか。

 デビュー1年目にタイトルを取ろうが、MVPになろうが、年俸調停権を得る3年目のオフまでは球団側の言い値、つまりメジャーの最低保障年俸(約6000万円)に毛が生えた程度の金額でプレーするしかない。

 メジャー1年目の2018年に4勝、22本塁打。ベーブ・ルース以来の二刀流選手として全米を席巻して新人王を獲得した大谷もしかり。メジャー3年目の今季年俸は約7000万円に過ぎない。コロナ禍の今季は試合数が60に制限されたものの、在籍日数は1年にカウントされるから、大谷はオフに調停の権利を得る。代理人と球団の交渉がまとまらなければ、年明け2月の公聴会で争う権利があるのだ。

 これまで年俸調停権を初めて得た選手の最高額は、昨シーズンのナ・リーグMVP(打率・305、47本塁打、115打点)を獲得したベリンジャー(25=ドジャース)の約12億3000万円(前年は約6500万円)。それまでは17年オフのブライアント(28=カブス)の約11億6000万円(前年は約1億1000万円)だった。大谷は彼らの年俸を超す金額を手にするのか。

「大谷には二刀流という他の選手にない武器と注目度がある。チームへの貢献度は高いですが、選手としての実績はベリンジャーやブライアントほどではない。彼らの金額を上回るというのは現実的ではないと思う」と、野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏はこう続ける。

「ベリンジャーはシーズンMVPはもちろん、ゴールドグラブ、シルバースラッガー、17年には新人王も獲得。ブライアントにしても16年にはシーズンMVPを獲得、デビューから3年間は平均30本を超す本塁打を放っています。ともにリーグを代表する打者であるのに対し、大谷にはそこまでの実績はまだない。それにエンゼルスは12年約460億円で契約したトラウト(28)に加え、昨オフはワールドシリーズを制したナショナルズの主砲レンドン(30)と7年約262億円の大型契約を結んだばかり。コロナ禍で悪化した懐事情も考慮すれば、大谷と大型の長期契約を結ぶのは現実的ではありません。昨オフ、ドジャースと1年約8億1000万円で契約したシーガー(26)程度の単年契約になるのではないでしょうか」

 最高額は塗り替えられないとしても、8億1000万円といえば、今季の約11・6倍。それはそれでスゴい金額だが。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  5. 5

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  1. 6

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  5. 10

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ