著者のコラム一覧
孫崎享外交評論家

1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。

世界が評価したテニス大坂なおみ選手の「政治的な動き」

公開日: 更新日:

 残念なことに日本国内では「スポーツ選手は競技に専念しろ」という声が上がった。

 政治は全ての人に関係する。自分を取り巻く環境を改善したいと思えば政治的な発言をするのは当然だ。「ローレウス・世界スポーツ賞」は「スポーツの力をもって社会問題に立ち向かい、スポーツの素晴らしさを世の中に広める」ことを理念としている。

 大坂選手の受賞で感心したのは、受賞に際しての彼女の言葉だった。

「今後の目標は、できる限り多くの人をサポートし、できる限り多くの人に影響を与え、もっと影響力のある、良い人間でありたいと思っています」

 自分の将来のあるべき姿をこれだけ明確に主張できる人は、現在の日本の若い世代にあまりいないのではないか。政治、つまり社会環境のありようを考えることは、スポーツ選手にとっても決して異次元の問題ではない。日本社会もまた、「スポーツや文化の力をもって社会問題に立ち向かう」人々を歓迎するようになってほしい。

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