著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

(4)不登校に薬や役に立つのか?魔法ではないが、治療の土台に

公開日: 更新日:

「不登校は、薬で何とかならないか」と考える親御さんも少なくない。結論から言えば、不登校そのものを治す薬はない。だが、不安、抑うつ、不眠、発達特性に伴う集中困難や興奮など、登校を妨げている背景病態があるなら、漢方薬を含め、薬が助けになることはある。かつては、未成年への向精神薬投与に極めて批判的な空気も強かったが、現在では、米国児童青年精神医学会(AACAP)も、心理療法を軸にしつつ、必要に応じて薬を併用する考え方を示している。

 特に見逃してはならないのは、午前中の抑うつ、眠気・倦怠感といった身体不調が強く、午後になるほど改善する「日内変動」である。こうした場合、軽症に見えても、あるいは単なるストレス反応のように見えても、実際には脳の生物学的変調としてのうつ病が始まっており、抗うつ薬の効果が期待される。これは大人でも同じで、わが国では、「適応障害」と診断されたまま、十分な抗うつ治療に結びついていない例が少なくない。

 日内変動に加えて、小中学生の頃から希死念慮が強く、睡眠リズムの乱れが目立つ子では、うつ病よりも発症の早い躁うつ病圏を疑う必要もある。躁うつ病というと、病的なうつと躁の気分を繰り返すと思われがちだが、児童思春期ではその典型像を示さず、長く「不安が強い子」「朝が弱い子」として扱われがちだ。

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