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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

「バブル方式」は虚構にすぎない 全豪テニスでも感染者が

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■毎日の検査は「抗原検査」が基本

 また、選手は選手村に入村後、「原則毎日検査」するが、その検査方法は精度の高いPCR検査ではない。基本は唾液による抗原検査で、疑念があれば唾液によるPCR検査を受ける。組織委関係者によると、この抗原検査は1回3000円のキットを利用した民間検査の活用も検討している。日本国内の医療資源に影響を与えないとの理由だが、結果通知は最大12時間後になる。それまでの待機場所は特に定められていない。ここで陽性の疑いがあって、選手はようやく鼻咽頭PCR検査を受け、定められた場所で3~5時間待機する。

 唾液検査の信頼性もある。残念ながらオリンピックの歴史はドーピングの歴史だ。ドーピング検査と同等の監視下でなければ、うがい薬でウイルスを減らすなど選手の悪意は防げない。バイデン米大統領のコロナ対策顧問だった米ミネソタ大のマイケル・オスターホルム教授は東京大会の感染対策について、「科学的根拠を欠く」と批判した。

 組織委は新型コロナ接触アプリ「ココア」の活用もうたうが、競技中にスマホを身に着ける選手はいない。また、政府が別途、約39億円かけて開発したアプリはGPSによる追跡機能を設けないという。さらに選手村には酒類の持ち込みが認められ、16万個のコンドームが配布される。どこが「バブル方式」なのだろうか。(つづく)

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