中村稔さん死去 巨人で「投手王国」を築いた伝説のコーチ

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 巨人が18日、OBの中村稔氏が6月2日に亡くなったことを発表した。82歳だった。中村氏はV9初年度の1965年に20勝を挙げるなど巨人のエースとして活躍。引退後はコーチとして投手王国を築くなど、名指導者として知られた。故人と公私にわたって40年以上の親交があった日刊ゲンダイOBが秘話を明かす。

 ◇  ◇  ◇

 1996年のシーズンオフ。中村稔さんに1本の電話がかかってきた。相手は藤田元司元巨人監督だった。

「稔、ロッテの監督を引き受けてくれないか?」

 寝耳の水の話だった。事情を聞くと藤田さんはこう答えたという。

「実はロッテから、監督をやってほしい、と頼まれた。でも、俺はもうユニホームを着る気はない。その旨、相手に伝えたんだ。そうしたら、それなら誰かふさわしい人を推薦してくれないかという。それで電話をした」

 藤田さんと中村さんは現役時代、ともにエースとして活躍。81年に藤田さんが巨人監督に就任すると、中村さんは投手コーチとしてバックアップ。その年、チームを8年ぶりに日本一に導いた。89年に藤田さんが巨人監督に復帰すると、中村さんも投手コーチとして再びユニホームを着た。藤田監督がもっとも信頼するコーチだった。

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