【侍ジャパン】韓国撃破し“金”王手までのドタバタ全舞台裏…偽装スクイズ騒動に緊急PCR検査も

公開日: 更新日:

 4日、東京五輪野球の侍ジャパンは準決勝の韓国戦に勝利して4連勝。銀メダル以上を確定させた。悲願の金メダル獲得に向け、7日の決勝戦に臨む。

【写真】この記事の関連写真を見る(27枚)

 日本を率いる稲葉監督は、合宿から「金メダルは当たり前」という重圧と戦っている。

■偽装スクイズ騒動、ガチガチの指揮官

 1次リーグ初戦のドミニカ共和国戦。九回、甲斐(ソフトバンク)が、初球にスクイズを空振りした直後の2球目にセーフティースクイズを決めて同点に追いついた。試合後、稲葉監督が「どうしても同点に追い付きたかった。偽装スクイズでやってもらった」と甲斐のプレーを称えたことを受け、「初球はわざと空振りした。恩師の野村監督仕込み」などと書いたスポーツ紙もあった。

「しかしそのネット記事は後日、削除されました」とは、球界OB。

「実は稲葉監督は『セーフティースクイズ』を『偽装スクイズ』と、単純に言い間違えたそうです。メディアにも訂正を出しています。つまり、甲斐の初球は単なる空振りだったということ。稲葉監督は生真面目な性格ですし、金メダルのためにガチガチになっているのです」

 グラウンドや食事会場ではコーチ陣と「鬼の形相」で選手起用や対策に頭を悩ませる日々。五輪開幕前は夜な夜な、対戦国の映像、資料とにらめっこ。気づいたら空が白んでいたことも珍しくない。

「五輪前に米国で行われた最終予選の視察がかなわず、時間が空いた時は1次リーグの米国対韓国戦などをハマスタで視察。資料を片手に難しい顔をしている。一方でライバル韓国は、金監督が最終予選を視察している。内心、気が気じゃなかったんです」(代表関係者)

迷走する選手起用

「いい選手を集めるのではなく、いいチームにしたい」とチーム結束を最大のテーマにしている指揮官だが、特に投手起用を巡って代表内から迷走ぶりが伝わってくる。

 先発投手の青柳(阪神)を2度にわたって中継ぎ起用。1次リーグのドミニカ共和国戦に2番手で登板して2失点したのに続き、準々決勝の米国戦でも五回から登板して3失点。慣れない中継ぎ起用に苦戦している。

■田中と千賀の危険な扱い方

「準々決勝の米国戦では、リリーフとして岩崎、青柳、千賀、大野らを起用。青柳を除いた3人は一度も登板がなかったため、試合の勝ち負けにかかわらず、あらかじめ米国戦で投げさせると決めていたようです。特に千賀は二軍調整中にもかかわらず招集した。それで登板機会ゼロでは一体何のために呼んだのか、となる。千賀が好投したのはあくまでひょうたんから駒です」(前出のOB)

 その米国戦で4回途中KOされた田中将(楽天)も、「稲葉采配の被害者」という声がある。

「荷物持ちでもなんでもやる」と意気込んで臨んだ今回の東京五輪。田中は稲葉監督から「チームを引っ張ってほしい」と伝えられ、投手リーダー的な立場で積極的に他の選手とコミュニケーションを図っている。年下の選手が多い中、山本(オリックス)や甲斐らと気さくに「メジャー談議」に花を咲かせることもある。

 田中は唯一、2008年北京五輪に出場しており、「日本のエース」として初戦ないし2戦目に先発、準決勝もしくは決勝の先発を担うとみられていたが、前出のOBはこう言う。

「稲葉監督は最終的に今季の成績や状態を優先した。田中は実質的に山本、森下に次ぐ『3番手扱い』です。米国戦は7月25日の巨人との強化試合から中7日空いての登板で、さすがの田中も登板前日は『やっと自分の出番が回ってきた感じです』とカリカリしていたそうです。米国戦で打ち込まれたのも、気合が空回りした感があるし、調整の難しさが影響したともっぱらです」

■球審がコロナ感染

 宮城・仙台での合宿と現在の宿舎生活は、「バブル方式」を順守するため外出禁止。選手は宿舎と試合会場、練習場を往復する日々だ。

 そんな選手たちの楽しみになっているのが、携帯アプリを使ったデリバリーや、外出可能な関係者が買い出しをしてくれるコーヒーだという。

「宿舎生活でもドタバタがあった」と明かすのは、放送関係者だ。

「楽天とのデーゲームを終えた後の7月24日の夜、選手たちが緊急でPCR検査を受けた。試合の球審がコロナに感染したからです。捕手の甲斐、梅野が濃厚接触者に認定される可能性があり、感染が拡大した場合は翌25日の巨人戦の中止を覚悟する関係者もいましたが、25日午前に陽性者も濃厚接触者もゼロで、事なきを得ました」

 舞台裏ではドタバタがありつつも決勝へ進出した侍ジャパン。有終の美を飾れるか――。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  3. 3

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  1. 6

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  2. 7

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 10

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も