2022年女子ツアー初V期待 「菅沼菜々・高橋彩華・仲宗根澄香」注目3人の強み

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菅沼菜々(21歳・4年目)

 昨季は稲見萌寧が賞金女王に輝いた女子プロゴルフ。今季から賞金ランクによるシード権が廃止され、メルセデスランキングに一本化されるなど、国内ツアーは新展開を迎える。そんな中、今季の台頭が予想されるツアー未勝利選手3人の素顔に迫った。

■自信のパットは「1日5分」の積み重ね

 プロ3年目の昨年6月の「ヨネックスレディス」で自己最高の3位。優勝した笠りつ子と3打差で賞金490万円を手にした。さらに同年10月の「樋口久子 三菱電機レディス」でも3位タイと、着実に力をつけている。

 菅沼を支えているのが父の真一さんだ。自身もティーチングコーチの経験があり、愛娘の試合ではキャディーを務めている。

「最初にゴルフを経験したのは、私が連れて行った打ちっぱなしです。菜々が『私もゴルフがやりたい』というので、ジュニア用にクラブを短く切って渡したのがゴルフの入り口です。当時、娘はダンスや水泳を習っていたので、ゴルフはあくまで趣味の一環。本格的にプロになると決意したのは高校3年の時、日本ジュニアで優勝してからです」(真一さん)

 菅沼の強みはパッティング。昨季の平均パット数1.7962は12位と上位陣と比べてもひけを取らない。

「娘が小4か小5のころ、『うまくなりたければ、毎日寝る前にパットの練習を欠かさないように』と言いました。最低でも1日5分、好きなアーティスト1曲分でいいからやりなさい、と。旅行に行った時も、疲れて練習を休む日も、体調が悪い日も、とにかく5分だけでいいんです。今もパット練習は続いていますね。菜々のパッティングは感性。グリーンのデータなどは見ず、上り下りや芝目、傾斜の角度を目で見て判断して打っている」(真一さん)

 そんな菅沼だが、2020年に広場恐怖症であることを告白。いわゆるパニック障害の一つで、公共の場や、緊急時に避難が困難な閉鎖空間などに恐怖を抱くものだ。

「公表するのは相当勇気が必要だったはずですが、『この病気を広く知ってもらって、同じ病気の人に勇気を与えたい』と話していました。今もクリニックに通っています。公共交通機関は使えないので、移動は私が運転する車です。開幕戦の沖縄に行けるかどうかは主治医と相談になりますね。2戦目は車で行ける高知なので大丈夫です」(真一さん)

 菅沼が住む東京から高知まで片道800キロ。「娘のためですから、苦でも何でもないですよ」とは真一さん。二人三脚でまずはツアー初勝利を目指す。

▽菅沼菜々(すがぬま・なな) 2000年2月10日、東京都立川市出身。18年にプロテスト合格。20-21年賞金ランキング47位(約3584万円)。あいおいニッセイ同和損保所属。

高橋彩華(23歳・5年目)

■メンタル改善で「虎に翼」

 鍵となるのは技術よりも精神面だ。

 昨季はメルセデス・ランキング8位と、若手の中でも期待が高い。ゴルフを始めた10歳の時から高橋を指導する井上星一郎コーチが言う。

「それまではフルコンタクトの空手をやっていたそうですが、『痛いのは嫌。ゴルフなら痛くないから』と(笑い)。最初はボールに当てるまで半年くらいかかりました。ただ、当たるようになると空手で鍛えていたこともあってか、とにかく飛ぶ。高橋が小学校6年生のとき、ジュニアの大会に出たのですが、490ヤードのパー5では2打目に6番アイアンでグリーンオン。一緒に回っていた高校生は『この子、小学生だったんですか!?』と驚いたほどです。性格はマジメでストイックですが、思い詰めると空回りしてしまうのがネックです」

 そんな性格が足を引っ張ったのがパッティング。プロテスト合格前後からパットに悩み、パター10本以上をとっかえひっかえ。スランプに陥っていた。そんな高橋が頼ったのが、現在も師事している奥嶋誠昭コーチだ。

「私が教えていた稲見萌寧を介して、『パットを見てください』と。2019年のワールドレディスの真っ最中でした。とりあえず見たのですが、技術うんぬんではなかったですね。パターをものすごくゆっくり上げてゆっくり打ち下ろしたり、今度はパンチを入れたりと、ストロークがメチャクチャでリズムもバラバラ。これは口で指導するのは難しいと思ったので、『リズムを変えよう』と。本人は『アドレスが……』など心配していましたが、『そんなのはいいから、だまされたと思って』と説得しました。もともと高橋は技術だけなら稲見より上かもしれません。後はメンタルだけですよ」

 直前まで6大会連続で予選落ちしていた高橋だが、ワールドレディスでは13位タイと健闘。同年のニチレイレディスでは鈴木愛に敗れたものの、自己最高2位と結果につながった。

「高橋は自分のゴルフを『耐えるゴルフ』と言っています。あの子が悩むたびに4日間大会が多いタイでプレーさせていたこともあってか、ペース配分は上手なんです」(前出の井上コーチ)

 耐えて耐えて、優勝カップを手にできるか。

高橋彩華(たかはし・さやか) 1998年7月24日、新潟県新潟市出身。2018年にプロテスト合格。20-21年賞金ランキング11位(約1億884万円)。東芝所属。

仲宗根澄香(30歳・7年目)

■「うちなー」と「やまと」をつないだ父の縁

 2つの県に愛され、後は結果を出すだけだ。

 プロテスト不合格4度にもめげず、2015年に合格。優勝経験こそないが、20年には日本女子オープンで自己最高3位タイになり、昨年のニチレイレディスでは4位と、尻すぼみどころか進化を続けている。

 気取らない性格も愛されており、出身地の千葉県白井市の市役所からインタビュー取材を受けたことも。20年には沖縄で建設、リゾート施設運営などさまざまな事業を展開する「金秀グループ」とスポンサー契約を結んだ。「仲宗根」という名字は沖縄県由来。仲宗根の父が離島の多良間島出身だったのがきっかけだ。

 金秀のゴルフ事業部の担当者が言う。

「以前から仲宗根選手の名前は知っていたのですが、プロフィルを見ると千葉県出身。沖縄とは関係ないのかなあ、と思っていたんです。それが19年に弊社が共催する『かねひで美やらびオープン』に仲宗根選手が出場した際、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)から送られてきた資料で、初めてお父さんが沖縄出身と知りました。それがきっかけですね。仲宗根選手も『沖縄で合宿がしたいですね』と話していますが、なにせ今はコロナが……。早くコロナが収まり、仲宗根選手を迎えることができればと思っています」

 得意のドライバーで、千葉と沖縄、2県のファンに勇気を届けたい。

▽仲宗根澄香(なかそね・すみか) 1992年1月5日、千葉県白井市出身。2015年にプロテスト合格。20-21年賞金ランキング39位(約4860万円)。Sky所属。

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