著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

選手会は米連邦調停局の仲裁を拒否…MLB開幕への道のりが依然遠い根拠

公開日: 更新日:

■選手会は拒否

 米国のプロスポーツともかかわりが深く、12年から13年のNFLでのロックアウトや12年にNHLで起きた審判団によるロックアウトなどを調停した実績がある。

 しかし、大リーグとの相性は悪く、1981年、94~95年のストライキの調停を行ったものの、いずれも失敗している。

 今回の場合では、大リーグ機構がFMCSに調停を依頼したものの、当局には出番がないと思われた。なぜなら、FMCSの調停には労使双方の合意が必要であるため、機構と経営陣に対する不信感を深める選手会側が交渉の席に着くとは考えられなかったからである。

■機構と経営陣のアリバイ作り

 何よりスプリングトレーニングまで10日という時点で要望を出したという事実は、機構と経営陣が選手会との妥協を目指しておらず、解決に向けた努力を行っているという証拠づくりを目的としていることを示唆する。

 実際、選手会はFMCSの仲裁を拒否しているから、機構と経営陣は「交渉に応じないのは選手会側だ」と主張する根拠を手にしたことになる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性