著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米FOXスポーツが儲けの少ないWBCを中継した理由 背景に大リーグ機構との長期放映権契約

公開日: 更新日:

 九回表に大谷翔平が登板して2死を取り、マイク・トラウトをフルカウントから空振りの三振として試合は終了、日本代表が3-2で米国代表に勝利して優勝する。どれほど優れた作家や脚本家でも思いつかないような展開で幕を下ろした今回のWBCは、人々の記憶に残る大会となった。

 チェコや英国などが本戦に出場したことは野球の普及を考える上で重要な成果だった。

 興行面では大会関連商品のオンライン販売の売り上げが2017年大会の1.5倍となったことが注目される。

 また、日本国内のテレビ視聴率の高さも、各国・地域の中で際立っていた。イタリアとの準々決勝での48.7%をはじめ、1次ラウンドの日本対韓国戦(44.4%)、準決勝の日本対メキシコ戦(42.5%)と、WBCの歴代最高視聴率上位4試合のうち3試合が今大会で記録されたことは、視聴者の注目度の高さを示している。

 決勝戦も平日の午前8時開始という悪条件ながら、世帯視聴率は42.4%。仕事中に中継を見ることを許す企業があるなど大いに注目を集めた。

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