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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

「入るのは簡単、出るのは難しい」佐々木麟太郎が選んだ米大学進学のプラスとマイナス

公開日: 更新日:

 このように考えれば、佐々木の米国の大学での練習量は日本時代に比べて大幅に減少することは明らかである。その一方で、もし無事に大学を卒業できれば、その時は自らの専門分野について一定の水準の知識を有していることの証しになる。

 日本のプロ野球において、大学出身選手の中にも学生時代の勉強が不足しているために引退後の進路が狭められる例が少なくない。この点で、米国の大学への進学を通して、佐々木は野球以外の進路を含め、より幅広い分野に挑戦するだけの能力を得る機会を手にすることだろう。

 だが、これまで日本のプロ野球界を経験せず大リーグに昇格した打者が2022年の加藤豪将(現日本ハム)1人という事実も、重たい意味を持つ。

 大リーグへの挑戦という点に限るなら、日本球界を経験し、優れた成績を挙げる方が有利となるのは明らかとはいえ、より困難な道は日本に残る場合に比べ、学業とスポーツの両立を通して、人間的な成長を期待させる。それだけに佐々木が熟慮の末に下した決断の行方が注目される。

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