故・伊良部秀輝は純粋で素直。マスコミが報じた粗暴なイメージとは違った素顔を持っていた

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 そんなとき、伊良部の頭に浮かんだのが、ロッテの金田正一元監督の顔だった。

 こうなると、直情的な伊良部に迷いはない。すぐさま受話器を取り、「今の自分に足りないものは何か?」と教えを請うたのだ。伊良部はボクと同じく87年のドラフトで1位指名されロッテに入団。金田監督に徹底的にしごかれた。

「エグイで、うちの監督はホンマ。毎日、馬のように走らされているんやから。たまらんわ」

 二軍の球場で顔を合わすと、二言目には金田監督に対する不満やグチをこぼした。が、伊良部は今、金田さんを「親父」と慕っている。突然、電話をかけてきた伊良部に金田さんは「とにかく走れ」と言ったという。このアドバイスに伊良部は「やっぱりピッチャーは走ることが基本やな」と的を射たような顔を見せていた。純粋で素直。マスコミが報じる粗暴なイメージとは違った素顔が伊良部にはある。

 伊良部が飲むとよくする話がある。太平洋戦争時のガダルカナル島を舞台にした本の話だ。悲惨な戦地で生き抜く人間のたくましさ、また不利を承知で戦い非業の死を遂げる無常さ。そんなことに思いをはせ、目を潤ませる姿を何度か見たことがある。

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