ドジャース大谷翔平の勝負強さを支える“切り替え力”…WCS初戦でいきなり2本塁打、白星発進に大貢献
「彼はポストシーズンモードに入っている。9月は本当にファンタスティックだった。打席の質も、マウンド上の雰囲気も、普段とは違う。記録を更新したことにも驚きはないさ」
ドジャースのロバーツ監督がこう言った。
「彼」とは、レギュラーシーズン最終戦の162試合目に昨年の54本塁打を上回る自己新の55号を含む3安打で勝利に貢献した大谷翔平(31)のことだ。
大谷の大舞台での勝負強さについては、フリードマン編成本部長も、昨年のプレーオフの前に2023年のWBCを引き合いに出して太鼓判を押している。
昨年のプレーオフ初戦。同地区のライバルであるパドレスとの地区シリーズ第1戦で、ドジャースは初回にいきなり3点を失った。レギュラーシーズンはパドレスに5勝8敗と負け越し。大谷は初っぱなに漂った嫌なムードを直後の二回、同点3ランで吹き飛ばした。
メッツとのリーグ優勝決定戦では初戦に2安打を放って勝利に貢献すると、1勝1敗のタイで迎えた第3戦ではダメ押し3ラン、続く4戦目も適時打を放ってチームはワールドシリーズ進出に王手をかけた。
とはいえ、大谷といえども、いつもいつも打てるわけではない。大舞台での勝負強さを支えているのは、「切り替えの早さ」だ。
「日本ハム時代に思うような結果が出ず、見るに見かねたコーチが技術的なアドバイスをしたことがあった。大谷はニコニコしながら、うなずいていましたけど、首脳陣の助言は右から左に聞き流していた。さっさと自分で修正すべきところを修正してしまう。結果を引きずらないのです」とは日本ハムOB。
ドジャースでも不調時にロバーツ監督から「ボール球を追い掛けている」「力みからスイングが大きくなり過ぎ」と苦言を呈されてもへっちゃら。落ち込んだり、悲観的になったりしたためしがない。少なくとも周囲はそうみている。特派員のひとりがこう言う。