口数の少ない大石大二郎さんが夜の店のママさんたちに好かれていたワケ

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 大石さんがどういう選手だったかは、亜大時代に矢野総監督や内田監督たちから2つの話を聞かされていた。

 部員は通常の練習で白いユニホームを着る。学生野球のグラウンドはプロほど整備が行き届いていないから、イレギュラーバウンドをよくする。ノックの際、下手な選手はイレギュラーした打球を捕り損なって、顔や胸のあたりに当ててユニホームにボールの跡がつく。大石さんはしかし、捕球姿勢が低いために上がったバウンドの下に入って、ボールの跡が背中についたという。打球に対してそれくらい低い姿勢で入っていたと聞いたものの、実際に見たわけではないので単なる伝説だと思っていた。

 もうひとつは大石さんの人物像だ。東都は入れ替え戦があり、1部の最下位チームは2部の優勝チームと入れ替え戦を行う。そういう試合の前日はみな緊張して、一夜漬けのような練習をするのだけれど、大石さんは飲みに行っていたというのだ。それだけ肝の据わった人というイメージだった。

 実際、近鉄で一緒にプレーしていても、常に淡々としていた。守備では本当に助けられた。股間を抜けた当たりを捕球してアウトにしてもらったこともある。口数が少なく職人肌。そんな感情を表に出さないタイプの大石さんが、いち早くマウンドにやってきて「終わったわけじゃないぞ」とハッパをかけてくれたのは、まだイケるという気持ちと、私を見てこの後、ショックで一気に逆転されそうな雰囲気を察知したのだろう。

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