著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

欠席なら“反トランプ扱い”…ドジャースのホワイトハウス訪問が映す米国社会の深刻な分断

公開日: 更新日:

 すなわち、共和党を与党とし、2025年1月の第2次政権発足以降は、しばしば自らを王になぞらえるトランプは、米国の根幹である民主主義を損なう存在であり、そのような大統領を訪問することは、ロサンゼルスの球団の選手としてふさわしくないというのが反トランプ派の典型的な主張である。

 一方、トランプ支持者からすれば、儀礼的な行動にまで政治的な意味を見いだすのは不適切であり、リベラル派は社会の分断をあおっているということになる。あるいは、欠席するということは、トランプ支持派を無視する行為だという批判も根強い。

 こうなると、ムーキー・ベッツが「4月に誕生した3人目の子どもと過ごす時間を優先したいから」という理由により、また、キケ・ヘルナンデスが怪我の療養を挙げて欠席する意向を示しても、トランプに抗議する政治的な対応という本心を隠しているのだとされてしまう。

 2025年4月にトランプと面会したことを挙げて政治的な判断ではないことを強調しても受け入れられない現状に、ベッツは「何を言っても信じてはもらえないだろうが」と嘆いている。

 本来であれば儀式以上の意味をもたない前年のワールドシリーズの優勝球団のホワイトハウス訪問がさまざまな議論を引き起こすところに、現在の米国社会の姿が象徴的に描き出されているのである。

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