「スナックふたり」川上弘美著|誰をも受け入れてくれる懐の深いスナック
「スナックふたり」川上弘美著
町の商店街にある、司と逸子というふたりのママが営む「スナックふたり」は、誰もが気兼ねなく集える大人の心の居場所。安い値段で好きなようにカラオケも楽しめるこの場所に、商店街でクリーニング屋を営むヒデさんとショウコさん夫婦、高校教師のしーやん、元焼き鳥屋のタカハシちゃん、酒屋の3代目のエガちゃんなどの常連客のほか、時折新しい客もやってくる。
新しい客が来るたび、忘れないために客にキノコの名前のあだ名をつけて備忘録をつけているふたりだったが、気づけば不思議な現象が起きていた。来店時に扉のカウベルが鳴らない客、どこかで見た顔をした若い女、ランドセルを背負った小学生などなど、懐の深いこの店には、この世ならざる存在も現れるようなのだ……。
息の合ったふたりの女性が営むスナックを舞台に、入れ代わり立ち代わり登場する人物の心の交流を描いた大人のためのスナック物語。常連客はもちろん、過去も経歴も不明な人もそれぞれの事情や背景を抱えている。どんな人をも受け入れてくれるこのスナックは、いつのまにか読者も癒やしてくれる。
(中央公論新社 2420円)



















