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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

選手会の猛反発必至なのに…大リーグ機構が「年俸総額制」導入を求める2つの背景

公開日: 更新日:

 今年12月1日に期限を迎える労使協定の改定に向け、大リーグ機構が年俸総額制(サラリーキャップ制)の導入を選手会側に提示した。

 1994年には世界のプロスポーツ史上最長となるストライキを決行するなど、これまで選手会は一貫してサラリーキャップ制度の導入に反対してきた。

 それにもかかわらず今回、機構側が制度導入を提案した理由は主に2つある。

 第1が、機構、そして機構と協調関係にある球団経営者たちが交渉を有利に進めるための戦略であり、第2が選手会側の結束力の弱さである。

 交渉の常道のひとつは、最初に相手が決して受け入れられない要求を出し、交渉の過程でその要求を取り下げる代わりに、本来の目的である事項を示して受け入れさせるというものである。

 機構や経営者も、サラリーキャップ制度が容易に実現するとは考えていない。今回の提案は、拒絶されることが明白な要求を取り下げる代わりに、選手会が求める最低年俸額の引き上げ幅を抑えたり、あるいは機構が折に触れて提起している国際ドラフトを導入したりするための布石といえる。

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