「タイタニック」のジェームス・キャメロン監督を驚嘆させた立ち合いの神秘
■パリっ子、どよめく
今年6月、パリ公演に同行したときも、私はこの「合図なき始まり」「呼吸による開始」を、現地の大相撲ファンに伝えたいと思った。力士を招いた公演前夜のトークショー「大相撲の夕べ」で、ちょうど説明役を務めることになっていたので、立ち合いの実演を企画した。
まずはその日の登壇者の一山本と、司会役のフランス人男性ジャーナリストが、舞台に敷いた仕切り線に手をついて向かい合った。が、男性ジャーナリストは気がせいてしまうのか、ワンテンポ早く立ち上がってしまう。仕切り直してやってみたが、やはり合わず、立てなかった。合図なしに相手に合わせるのは、見た目よりも難しいのだ。
そこで、男性ジャーナリストに代わって、この日のもう一人の力士、欧勝馬が臨む。力士2人の立ち合いはバシッと決まり、会場はどよめいた。
誰も、何も言わず、合図もしない。互いに「呼吸」を感じて立つ──。好角家の作家、村松友視さんはこれを「阿吽(あうん)の呼吸という神秘」といった(「北の富士流」)。さあ、お立会い、立ち合いに注目を!(構成=山家圭)



















