北の富士さんが桟敷に座る浅丘ルリ子を見て、思わず「あ!」と叫んだ理由
──3月21日公開の「土俵際の話術師 大相撲よもやま話」で、放送席のモニターに浅丘ルリ子さんが映っているのを見つけた北の富士さんが、マイクに拾われるほどの音量で思わず「あ!」と声を上げてしまったという余話があった。
≫あるとき、「あっ!」て画面を指さすから、見たら、画面の隅に浅丘ルリ子さん。ところが「あっ」て声は思いの外大きくて、マイクが拾ってしまった。だから私は、「あ~、きょうは桟敷に浅丘ルリ子さんがいらしているんですね」と応じた。すると北の富士さんは一転、「お、そう?」って。私がキョロキョロして浅丘さんを見つけて、北の富士さんは真面目に相撲を見ていてつゆ知らず。話を振られて、はじめて知ったという体にされてしまった。
実はこれには前段があるという。
◇ ◇ ◇
浅丘さんは相撲が大好き。私は違う番組でご一緒し、以来、たまに電話をもらって相撲の話をしたりしていました。北の富士さんのことも「現役時代からずっと好き。今は解説がとても面白いわ」と言っていた。それであるとき、「一度お食事に行けないかしら」と。
これには北の富士さんも喜んで「吉永小百合さんや、石原の裕ちゃんや、小林の旭とはね、現役時代から食事に行ったりしていたけど、浅丘さんはなかったんだよ」なんて言ってね。
それで、私は2人の席をもうけることに。場所は、北の富士さんが懇意にしている割烹が神楽坂にあるから、そこがいい、となりました。私は予約を入れて一安心、これで一件落着と思っていたら、両人とも何やら照れて私に同席を求めてくるんです。北の富士さんは「吉田! おまえ、来なかったら許さないからな!」と言うし、浅丘さんも「絶対、来てくれなかったらいやよ」って。そうまで言われては「では、お邪魔でしょうが……」と同席するしかありません。
ところが当日、放送が終わった後の打ち合わせが延びて、私は約束の時間に遅れてしまったんです。本来なら、先に到着して両人を迎えて間を取り持たないといけないのに。
2人だけにしてしまって、これは怒っているだろうな……と、私は恐る恐る部屋の前までいって、そ~とふすまを開けたんです。すると案に相違して、浅丘さんの、あの可愛らしい笑い声が聞こえてくるではありませんか。中を見やれば、もう2人で楽しそう、楽しそう。北の富士さんはいつもの名調子! もう、まったく私は要りませんでした(笑)。でも2人は、「遅いよ。吉田さん! はやく入って。よし飲もう」「遅いんだから~」と迎えてくれて。
そういう一夕があったんです。だからこそ、後日の解説の日、モニターの隅に浅丘さんを見つけたとき、思わず「あ!」って声が出てしまったんですよね、北の富士さん。いつもなら、奇麗な人がいても、画面を指しながら私の方を見てニコっとするだけですから。
それで、私は中継アナウンサーとして、不意に音声に入ってしまった「あ!」を収拾しないといけませんから、「ああ、きょうは桟敷に浅丘さんがいらしているんですね」と応じたんです。ところが北の富士さんは、私の機転などお構いなしに「お、そう? 相撲好きなんだ」と見事にトボけるんですよ。まったくね。
神楽坂でのあの笑い声も、放送席での「あ!」も、忘れられません。私の耳に残っています。
(構成=山家圭)


















