「自衛隊員が泣いている」三宅勝久著

公開日: 更新日:

<巨大組織・自衛隊の実像>

 国民からの好感度が過去最高を記録する一方で、年間10万人あたり35~40人と省庁の中でも突出して自殺率が高い自衛隊の実態を告発するルポ。

 04年に自殺した護衛艦「たちかぜ」の乗員の遺族が起こした裁判で浮かび上がる古参隊員の常習的ないじめと規則違反。この裁判では、廃棄されたという文書の存在が内部告発によって分かり、組織そのものの隠蔽体質までもが明らかになる。その他、隊の互助会費を盗んだと濡れ衣を着せられた隊員を自殺に追い込んだ警務隊の強引な捜査や、「徒手格闘」という戦闘技術の訓練中に起きた事故死事件などが証明する日常的暴力、そして幹部と取引業者との癒着など、理不尽な事件の詳細から巨大組織の実像をあぶり出す。
(花伝社 1600円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 3

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 9

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  5. 10

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」