「団地で暮らそう!」長野まゆみ著
■空き家情報の「浴」の表記はなに?
昭和と平成のはざまに生まれた安彦くんは、一人暮らしをするため、森中団地に引っ越す。築50年を超える現役の住宅があると知り団地に興味を抱いたのだ。コーシャの空き家情報には、「浴」など住宅情報誌では見かけない表記がある。注意書きによると「浴槽つき」の意で、旧来型の団地には浴室はあっても浴槽はないのが普通だったと知る。団地で暮らし始めた安彦くんは、隣人の是清さんから踊り場の小扉がかつて生ごみを捨てていたダストシュートだと教わる。ごみは自治体でなく家畜の飼料として利用する業者が集めに来ていたと聞き驚く。
団地暮らしの詳細を描きながら昭和の暮らしぶりを紹介する長編小説。
(毎日新聞社 1300円)